2008 Fiscal Year Annual Research Report
高品質ミカンの安定生産に寄与する潅漑システムに関する研究
Project/Area Number |
19580285
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
堀野 治彦 Osaka Prefecture University, 生命環境科学研究科, 教授 (30212202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中桐 貴生 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (80301430)
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Keywords | ミカン / 高品質 / 土壌水分消費割合 / 土壌水ポテンシャル / 葉の水ポテンシャル / 根群分布 / マルチ |
Research Abstract |
和歌山県有田地域では,地域ブランドへの信頼維持のため高品質なミカンを毎年安定的に生産することが懸案となっている.これに対処するには,マルチにより蒸発や雨水浸入を制御した上での少量頻繁灌漑,すなわち,ある種のPrecision Farming的な綿密水管理が有効であり,灌水の適時適量に資する計画の提案が重要と考えた.本年度は昨年度の4園において各種計測を継続すると共に,当初計画通り新たに1園を追加・調査することにした. これまでの成果は以下のとおりである. 1.土壌水分プロファイルは,深度ごとに特微的変動を示し表層での含水率変動が大きい傾向にあった.また,これらのデータから,各園のマルチ下における土壌水分消費割合を推定したところ,多くの場合,最表層が最も消費割合が高く制限土層となりうることが示された.2.ミカン樹の根群分布を掘削により実測した.その結果,全ての園で40cm以深の土層からはほとんど細根は採取されず,灌漑に関わる有効土層は40cmまでで十分であると確認された.3.プレッシャーチャンバー法によるミカン葉の水分ポテンシャル(LWP)と果実品質の調査結果から,LWPは特に夏季に大きな日変動を示すが,高品質を保証するポテンシャルの適域を判断するには,日没前のLWPで十分出ることが推察された. 4.果樹園の蒸発散量(ET)調査から,ETは日射量や気温と高い相関性を有する一方で,湿度や日照時間とはそれほど有意な関係が認められないことがわかった. 5.現在の測定結果からは,傾斜地果樹園と低平地果樹園でのETあるいは土壌水分消費には明確な差異が認められず,こうした点についてはさらに検討が必要と考えられる.
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