2007 Fiscal Year Annual Research Report
深層土壌中における水および硝酸性窒素の動態に関する研究
Project/Area Number |
19580288
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
久保田 富次郎 National Agricultural Research Organization, 農村工学研究所・農村環境部・水環境保全研究室, 主任研究員 (30414460)
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Keywords | 水文 / 水理地質 / 地下水汚染 / 深層土壌 / 脱窒菌 |
Research Abstract |
初年度は,はじめに地質ボーリング技術を用いた不攪乱深層土壌コアの採取条件の検討を行った.まず,採取地点の決定のため,鹿児島県鹿屋市において既往の地質データの収集・整理を行い対象地域の予想地質断面を作成した.地質に加えて土地利用等の条件を勘案して候補地を5地点に絞り,比較検討を行った結果から最終的に1地点を選定した. 次に,試料の分析項目と採取層位を検討し,生物特性は脱窒活性や脱窒菌数など5項目,物理性は透水係数など5項目,化学性は全窒素,全炭素など7項目,について最大11層位において採取・分析することとした。 地質ボーリングはH19年11月よりH20年1月にかけて実施した.コア採取法には攪乱が少ないトリプルコアサンプラーを用い地表面から約97mまで掘削し,表土から基盤岩に至る地質試料を採取した.得られた試料は一時的に冷蔵庫で保管し速やかに分析に供した.深層コアの生物機能評価の結果,表層土壌の他,地表面下60m以深にある旧表土に相当する層位で高い脱窒活性が認められた。 また,採取した不攪乱コアを用いた水理地質特性並びに窒素移動特性の評価試験として,試験装置の試作や前処理方法,作業手順について検討した.具体的には不攪乱土壌コアと保護管(アクリルパイプ)との隙間を埋めるための充填材や注入方法を検討した.その結果,充填材としてエポキシ系接着剤が扱いやすいことがわかった.次にカラム試験器を試作し,飽和/不飽和透水係数・溶質分散係数等の測定方法について検討した. さらに,地下水盆内の浅層〜深層にわたる一連の地下水の窒素動態を把握するため,茨城県恋瀬川流域を対象とした既往の地下水調査結果を帯水層別に整理・検討した.これにより,40m以深のボーリング井戸から低溶存酸素かつ硝酸態窒素未検出の井水が確認され,更新世中期の堆積層内で脱窒が生じている可能性が示された.
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