2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19580289
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
奥山 武彦 National Agricultural Research Organization, 農村工学研究所・企画管理部, 防災研究調整役 (20343767)
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Keywords | 水循環 / 地盤工学 / 土砂災害 / 地下水 |
Research Abstract |
静岡県西部の結晶片岩地帯において,区間遮断構造を有するボアホールを使用して深度1m毎に水圧を10ms間隔で測定してパワースペクトルを算定した。ボアホールカメラ観察により高い亀裂密度が確認され,電気検層で低い比抵抗が測定された深度18mでは水圧のパワースペクトルは1.1〜1.2Hzに明瞭なピークを持ち,亀裂が少ない深度11mほかの区間との差異が明らかであった。深度18mは電熱式温度検層によって認められた地下水流動深度であり,水圧の深度別動的測定により捉えた脈動は亀裂により卓越した地下水流動の探知方法となると考えられる。2003年宮城県沖地震で崩壊した宮城県栗原市内の地すべり地においてすべり面相当深度の水頭測定と排除地下水の水質分析を継続してきたが,2008年岩手・宮城内陸地震の後に水頭の降雨応答が鋭敏になる傾向が現れた。集水井から基盤層に貫入している集水ボーリングで排除される地下水は水量が増加し,酸化還元電位が上昇した。地すべりブロック主測線の再測量を行った結果,盛土部の上端付近で滑落方向に1〜2cmの変状が生じていた。震央から約36kmの距離にある現地では斜面方向で最大740galの加速度を受けたと推定されており,引張力によってブロックに亀裂が発生し,浅部地盤からの浸透水が増加して水頭変動,水質変化をもたらしたことが推定される。地震時に11kPaの過剰間隙水圧が発生したが,その後消散し,ブロックに大きな変状は生じなかった。対策が施工された地すべりブロックにおける地下水の長期観測により,地下水排除工が過剰間隙水圧の抑制,地盤の緩みによって増加した浸透水の排除による再活動防止効果をあげたことを実証できた。
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