2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19580289
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
奥山 武彦 Yamagata University, 農学部, 教授 (20343767)
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Keywords | 水循環 / 地盤工学 / 地下水 / 土砂災害 |
Research Abstract |
地下水流動に関与する大規模な亀裂等の発生,成長の要因として,地震,地すべりがある。2008年岩手・宮城内陸地震の震央から約35kmの栗原市の地すべりで,降水量に対する深度6.1mの間隙水圧応答が同地震後に顕著になった現象は,2009年に緩和したものの,集水井での排水量増加,排除地下水の電導度,重炭酸濃度の低下,酸化還元電位の上昇傾向は続いた。地震によってできた亀裂は経時的に閉塞に向かうものの,深部地下水が浅部地下水と連結することで間隙水圧の上昇,浸透水の供給をもたらし,地すべり再活動の可能性が高まることが考えられる。山形県鶴岡市七五三掛地区で2009年4月に発生した地すべりは,一帯に重畳して分布する大規模地すべりの一部の再活動であった。地下水の水質分布から,北方の山地に浸透した地下水が地すべりブロックへ流入集中したことが推察された。一般的なオールストレーナ孔で深度別の水頭測定,採水を行うゾンデを開発し,ブロック頭部のボアホールで深度1m毎の測定,採水を行った。風化層と亀裂卓越層内で水頭の増大,低下が発生し,一部では水圧が脈動していることから,流動層を形成していることが明らかになった。2010年2~3月の融雪期には気温変化から4日遅れで孔内水位が大きく変動した。流動層深度を特定して採水した地下水は夏期に比べて電導度,重炭酸濃度の低下,溶存酸素濃度の増加が見られ,融雪が地下水の供給源になっていることが裏付けられた。地下水のポテンシャル,水質の空間分布は既往地すべりブロックの境界位置やすべり面深度と関連している。再活動地すべりでは過去の活動で形成された断裂や亀裂による地下水流動を解明することが効果的な地すべり対策の実施と被害防止に重要である。
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