2007 Fiscal Year Annual Research Report
食の安全の確保とポジティブリスト対応のための果樹用静電農薬散布技術とその実証実験
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19580293
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
西村 亮 Tottori University, 工学部, 准教授 (70261683)
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Keywords | 静電農薬散布 / ポジティブリスト制度 / 静電気 / 帯電液滴 / 農薬ドリフト / 果樹 |
Research Abstract |
1. 農薬の帯電と接地した導電性ネットによる農薬ドリフトの低減 農薬散布ノズルに電圧を印加して,帯電した水(農薬を模擬)を接地した金網に向けて噴霧し,金網を通過した液滴を接地金属板で受け,金属板と大地の間を流れる電流を測定した(電流値と液滴の体積はほぼ比例する).使用した金網はその形状から飛行してきた液滴の約21%を遮へいできる(遮へい率21%)と想定されたが,液滴を帯電させることで液滴が金網に静電気力によって捕集され,遮へい率が約57%まで改善された.このことから静電農薬散布は農薬ドリフト防止に積極的に貢献できる可能性があることが確認できた.また,「ノズルに電圧を印加する」場合,遮へい率が最大となる電圧が存在するようであった.また,「農薬が付着してはいけない果樹」を模擬したダミーツリーを金属棒(幹)と金属板(葉)を組み合わせて作成し,接地金属板の代わりに接地金属網の下流に配置し,「葉」に付着する液滴量を測定した場合でも,上記と同様に農薬の帯電と接地導電性ネットによる「農薬ドリフト防止効果」が確認できた. 2. 果樹への静電農薬散布実験 動力噴霧器のノズルに電圧を印加し,ビニールハウス内の商用ニホンナシ樹(樹齢7年)に食用色素で着色した水道水噴霧する実験を行った.電圧は(i)無印加,(ii)-38kV直流,(iii)矩形波(波高値-50kV,平均値-38kV)を印加し,比較を行った.電圧を印加することにより,単位面積あたりの葉への付着量の平均値は(i)と比較して(ii)は1.17倍,(iii)は1.26倍に増加した.(ii)において液滴はノズル近傍の葉に集中して付着し,遠方の葉にはほとんど付着しなかったが,(iii)においてはこの「付着のばらつき」がある程度緩和され,遠方の葉にも液滴が付着した.このことから「印加電圧波形の適切化」が必要であると思われる.
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Research Products
(5 results)