2009 Fiscal Year Annual Research Report
食の安全の確保とポジティブリスト対応のための果樹用静電農薬散布技術とその実証実験
Project/Area Number |
19580293
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
西村 亮 Tottori University, 工学研究科, 准教授 (70261683)
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Keywords | 静電農薬散布 / 静電気 / ポジティブリスト制度 / 農薬飛散 / 果樹 / 農業機械 / 帯電粒子 |
Research Abstract |
1. 農薬の帯電による防除効果向上の実証実験 鉢植えニホンナシ樹に対して赤星病の防除薬を散布する際,農薬を帯電させた場合と非帯電の場合での防除効果の違いを調査した.農薬の帯電は,薬液散布時に大地から電気的に絶縁した農薬噴霧装置のノズルに高電圧を印加することで行った.一定量の農薬を散布し, その後病斑判定法により評価を行った結果,農薬を帯電させた方が非帯電の場合よりも病斑の発生が抑えられ,防除に有効であることが確認できた.これは帯電した薬液がクーロンカにより供試樹に引き寄せられ,非帯電の場合よりも薬液付着量が増大し,付着の均一性も改善されたことを意味している.また,この結果より噴霧する薬液の量を削減しても慣行(非帯電)の散布と同等の防除効果が得られると考えられる.今後,供試樹ごとに散布時間を変化させ(噴霧する薬液の量を変化させ),噴霧薬液の削減可能量を調査する研究を実施することで,防除に関する農薬コスト削減を定量評価できると思われる. 2. 帯電農薬を金網(導電性ネット)で遮へいする場合の適切な金網の配置 大地から電気的に絶縁した農薬噴霧装置のノズルに高電圧を印加し,接地した金属製ダミーツリー(「農薬が付着してはいけない農作物」を模したもの)に向けて水(農薬を模したもの)を散布する.ノズルとダミーツリーの間隔を一定として,両者の問に接地した金網(導電性ネット)を置く.帯電した水はダミーツリーに到達するまでに金網に静電的に吸着され,電圧を印加しない場合と比較してダミーツリーへの付着量が減少する.その際,金網はノズルから離し,ダミーツリーの近傍に配置するほうがより効果的に農薬を捕集することが確認できた.この知見は,水を散布して導電性を持たせた防風ネットなどを非散布対象の作物の近く(圃場の境界など)に配置して静電農薬散布をおこなうことで,農薬飛散(ドリフト)を低減し,ポジティブリスト制度に対応できる可能性を提示するものである.
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Research Products
(3 results)