2007 Fiscal Year Annual Research Report
乳酸菌による病原菌と上皮細胞とのクロストークへの干渉と感染症予防への応用
Project/Area Number |
19580306
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
戸羽 隆宏 Hirosaki University, 農学生命科学部, 教授 (10108483)
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Keywords | 乳酸桿菌 / サルモネラ菌 / ゲンタマイシン / 侵入阻止活性 / Caco-2細胞 |
Research Abstract |
まず、細胞侵入性病原菌である腸管侵入性大腸菌(EIEC)、リステリア菌、赤痢菌およびサルモネラ菌(Typhimurium)株の中から、経上皮電気抵抗値(TER)測定法あるいはゲンタマイシン処理法のいずれかによる評価系に適した菌株を選抜した。その結果、サルモネラ菌がCaco-2細胞に侵入するのをゲンタマイシン処理法で評価するのが最適であると判断された。そこで、この方法を用いて、腸管系乳酸桿菌であるLactobacillus acidophilus、L. crispatusおよびL. amylovorus株の中から侵入阻止活性のある菌株を選抜した。その結果、L. crispatus菌株で侵入阻止活性が高かった。ここで、このL. crispatus菌株はサルモネラ菌株に対して抗菌作用を持たないことを確認した。次いで、侵入阻止活性が、サルモネラ菌の初期付着かその後のエフェクターによるアクチンの再構成段階への作用に対するものかを明らかにするために、Caco-2細胞の生および死細胞を用いた阻害試験を行なった。その結果、いずれの段階でも阻害効果が見られた。そこで、L. crispatus菌株およびサルモネラ菌株のCaco-2死細胞表層における付着部位を顕微鏡観察により比較した。その結果、両菌株の明瞭な偏在は認められなかった。次いで、L. crispatus菌株の活性成分とその作用機構について知るために、菌体表層成分を分画し、阻止活性およびサルモネラ菌体やCaco-2細胞表層への結合性を調べている。
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