2007 Fiscal Year Annual Research Report
乳汁免疫グロブリンGの能動免疫調節機能の解明と利用技術の開発
Project/Area Number |
19580307
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
大谷 元 Shinshu University, 大学院・農学研究科, 教授 (30109201)
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Keywords | 牛乳 / 牛乳IgG / 獲得液性免疫抑制 / 抗アレルギー作用 / 花粉症軽減 / 免疫グロブリン / 遺伝子の網羅的解析 / マウス経口摂取 |
Research Abstract |
本申請研究は、牛乳IgGには従来から知られている抗原結合機能とエフェクター機能以外に、獲得液性免疫調節機能が存在するという申請者らの先の研究結果に基づき、"牛乳IgGとそれに対する食用微生物を同時に摂取することにより花粉症をはじめとしたI型アレルギーが軽減される"という申請者の仮説を証明しようとするものである。 平成19年度は遊離型IgGおよび抗原と結合したIgGをマウスに経口投与したときのマウスの液性免疫応答に及ぼす影響を明らかにすることを申請書において計画していた。本計画については、精製した牛乳IgGのパパイン消化物から精製したFc、および大腸菌とそれと結合できる牛乳IgGをマウスに35日間経口投与することにより、Fcは液性免疫に影響を及ぼさないが、大腸菌とそのIgGの摂取では抗体産生に関係する因子が全て抑制的になることを明らかにした。また、パイエル板細胞の遺伝子のDNAマイクロアレイによる網羅的解析により、牛乳IgGと大腸菌の摂取により、抗原提示細胞やB細胞の分化の抑制、へルパーT細胞のTh1やTh3への分化の促進、Fcεレセプターの発現抑制なとを示唆する結果を得た。これらの結果は、申請者の仮説どおり牛乳IgGとそれが認識する抗原の同時摂取はI型アレルギーを軽減する可能性を示している。 そこで、平成19年度のもう一つの実験計画である2頭のシバヤギに食習慣のあるパン酵母を注射し、そのシバヤギが分娩後分泌した乳汁からパン酵母に対するIgGを合計3.6g調製した。 以上のとおり、平成19年度においては、申請書に記載した実験計画を100%実行できた。これらの成果は日本畜産学会および日本酪農科学会において口頭発表やポスター発表を行った。また、学術論文として現在まとめている。
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Research Products
(4 results)