2007 Fiscal Year Annual Research Report
鳥類卵胞においてIgY輸送量を制御する鍵因子の解明
Project/Area Number |
19580310
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
村井 篤嗣 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 准教授 (10313975)
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Keywords | 鳥類 / ウズラ / ニワトリ / 卵胞 / 卵黄 / IgY / 畜産学 |
Research Abstract |
本研究は、鳥類卵胞における抗体輸送機構の解明を最終目標とし、卵胞へ輸送されるに必要な抗体側の条件を調査するとともに卵胞に存在することが推察されるIgY(抗体)結合因子の存在を検証した。得られた結果の概要は以下の通りであった。 1)卵胞への抗体輸送が能動的に行なわれているかを確認するために、各種ニワトリ系統の血液中IgY濃度と卵黄中IgY濃度を正確に測定し、両者の濃度を比較した。その結果、何れの系統でも卵黄中のIgY濃度は血液中のIgY濃度よりも高くなり、その濃縮倍率は約1.6倍であることが判明した。よって、卵胞内へIgYを積極的に取り込む機構の存在が示唆された。 2)卵胞へ輸送されるために必要な抗体側の条件を明らかにするために、各種の標識抗体をウズラへ投与し、卵黄あるいは卵胞への輸送量を測定した。その結果、単量体の抗体に比べ、二量体以上の抗体では卵胞への輸送量が著しく低下すること、単量体抗体の中でもその輸送量には差がありIgYの輸送量が最も多いこと、更にはIgYの輸送にはその定常領域であるFc領域が保持される必要があることを明らかにした。以上の結果は、卵胞へのIgY輸送に必要な条件を初めて明らかにしたものであり、輸送に携わる鍵因子の同定にも寄与する重要な基礎的知見である。 3)卵胞にIgY結合因子が存在するのか、更にはその結合因子の局在を調査するために、産卵ウズラの卵胞から凍結切片を作成した。ジゴキシゲニンで標識したニワトリIgYのFc断片を準備し、この断片と卵胞の凍結切片とをインキュベートし、共焦点レーザー顕微鏡により結合の有無、更にはその局在を確認した。その結果、顆粒膜細胞層の側底面とペリビテリン膜付近にFc断片の結合シグナルが検出された。したがって、この部位にはIgYのFc領域と結合し、その輸送を促進する因子の存在が示唆された。
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Research Products
(5 results)