2008 Fiscal Year Annual Research Report
鳥類卵胞においてIgY輸送量を制御する鍵因子の解明
Project/Area Number |
19580310
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
村井 篤嗣 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 准教授 (10313975)
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Keywords | 抗体 / ウズラ / ニワトリ / 卵胞 / 卵黄 / IgY / デザイナーエッグ / 畜産学 |
Research Abstract |
本研究は、鳥類卵胞における抗体輸送機構の解明を最終目標としており、この目標を達成するために、卵胞への高効率輸送に必要な抗体側の条件を調査してきた。これまでに、ウズラの静脈へ異種動物にあたるニワトリのIgYを投与すると、全投与量の22%ものニワトリIgYがウズラ卵胞へ輸送されることを示した。同種のウズラIgYをウズラ自身へ投与すれば、より効率的に卵胞へ輸送されることが予測されたが、その真偽は不明であった。そこで、ニワトリIgYとウズラIgYのウズラ卵胞への輸送量を比較するとともに、両者の輸送特性を解析した。得られた結果の概要を下記した。 1.ニワトリとウズラそれぞれの血液からIgYを抽出・精製した。これらのIgYを産卵ウズラの血液中へ投与し、卵黄中への輸送量を比較した。 2.ウズラIgYの卵黄輸送量に比べ、ニワトリIgYの卵黄輸送量は約3倍も高くなった。すなわち、異種性のニワトリIgYの方がより効率的にウズラ卵胞へ輸送されることが判明した。 3.血液中の投与ニワトリIgYと投与ウズラIgYの経時的濃度変化を調査した所、常にウズラIgYの濃度がニワトリIgYの濃度よりも高くなった。すなわち、ウズラIgYの卵胞輸送量が低い原因は血液中からの消失速度が速いことに起因するものではないと考えられた。 4.各種臓器における投与ニワトリIgYと投与ウズラIgYの蓄積量を比較した所、卵胞を除く全ての臓器でウズラIgYの蓄積量がニワトリIgYの蓄積量よりも高くなった。 5.ウズラIgYを構成するアミノ酸配列の一部を解析した所、ニワトリIgYのアミノ酸配列との相同性は低いことが判明した。 6.上記の結果から、ウズラ卵胞は異種性のニワトリIgYを効率的に輸送する機構を備えていると結論した。 7.本結果は、デザイナーエッグの創出を企てる際に、卵へ有用タンパク質を効率的に輸送させるための新たな戦略を提供し得る成果であった。 (以上の成果はBae, Murai(他2名)らにより学術論文として纏められ、Poultry Science誌への掲載が決定している。)
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Research Products
(3 results)