2008 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス緩和に伴う生理活性物質の変動解析による鶏の快適さの評価
Project/Area Number |
19580312
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
豊後 貴嗣 Hiroshima University, 大学院・生物圏科学研究科, 教授 (40325361)
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Keywords | ニワトリ / 快情動 / 快適さ / ストレス緩和 |
Research Abstract |
本年度は、ストレス負荷後のペプチドホルモンのmRNA量の変動および血液性状について調査を実施した。 (1)血漿コルチコステロン濃度は、単離および拘束ストレスいずれにおいてもその解放後時間経過的に低下した。間脳の遺伝子発現は、単離ストレスではCRFが解放後も無処理区より高い値を示し、POMC遺伝子発現は、解放後10および30分において無処理および対照区と比較して高かった。血液性状と遺伝子発現量との関係において、単離ストレス解放では血漿コルチコステロン濃度とPOMCとの間に負の相関が認められた。一方、拘束ストレスではNPY遺伝子発現が解放後時間経過的に低下し、POMC遺伝子発現は、処理および対照区の値が無処理区と比較して高いことが認められた。各測定値聞の関係では、NPY遺伝子発現がコルチコステロン濃度およびPOMC遺伝子発現との間に負の相関を示した。したがって、いずれのストレス刺激においてもPOMC遺伝子発現の増加はストレス解放後の指標となることが考えられた。 (2)コルチコステロン投与によって、POMCおよびAVT遺伝子発現量はそれぞれ投与10および15分後に対照区より低いことが認められた(P<0.05)。また、CRF遺伝子発現量も投与後15分において低い傾向が認められた。このことから、CRFのみならず聞脳のPOMCおよびAVT神経系もストレス負荷後にみられる血中CORT濃度の上昇の影響を受けるものと推察された。一方、CORT投与によるNPY遺伝子発現への影響は示されなかったが、 CRF遺伝子発現との間に負の相関関係が認められた。哺乳類において、ストレス負荷によって分泌されたCORTは中枢のNPY分泌を促すことが報告されており、同様の結果であるものと考えられた。 (3)muオピオイド・アゴニスト投与によって間脳POMC遺伝子発現は抑制されること、エンドルフィンのN末端断片がmu受容体の部分アゴニストとしてエンドルフィンの効果を緩和することが明らかとなった。 以上の結果から、間脳遺伝子発現量および血液性状の変化からストレス刺激の種類あるいはその強度を評価できる可能性が示唆されるとともに、これら変化と行動等表現型との関係が明らかになった場合、家畜のストレス状態の評価が容易になるものと考えられた。
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Research Products
(4 results)