2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19580319
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
塚田 英晴 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産草地研究所・草地多面的機能研究チーム首, 主任研究員 (60343969)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 正彦 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業研究センター・鳥獣害研究サブチーム, 主任研究員 (90391391)
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Keywords | 野生動物保全 / 獣害 / 盗食 / 牧場 |
Research Abstract |
牧場の土地利用形態が野生動物の牧場利用に及ぼす影響を評価するため、牧場を利用する主要な中大型哺乳類9種について、異なる環境(放牧地、採草地、林地)間での出没頻度をセンサーカメラにより比較した。その結果、ニホンジカ、キツネ、タヌキ、イノシシ、アナグマは草地の出没頻度が高く、前2種は採草地で、残り3種は放牧地でとりわけ出没頻度が高い傾向を示した。一方、ツキノワグマ、ハクビシン、ノウサギは草地の出没頻度が低い傾向を示し、ツキノワグマは放牧地、採草地の出没頻度がともに低くて林地での出没頻度が高く、残り2種は採草地でのみ出没頻度が低い傾向を示した。テンはこれらの環境間で同様の出没頻度を示した。以上の結果から、牧場の土地利用形態の違いに対し、種毎に異なる出没傾向を示すことが明らかとなった。これまでの畜舎における盗食実態の調査から、畜舎への侵入はイノシシについでタヌキが多く、1287回、584回/週と高い執着度を示した(Tsukada et al.2010)。そこで、牛舎に侵入し濃厚飼料を盗食しているタヌキを捕獲し肥満度指数(BMI:体重/体長^3)を求めたところ、29kg・m^<-3>(n=25)と飽食飼育個体の値と同等であった(Takeuchi et al.未発表)。オス成獣13頭(93%;n=14)および亜成獣8頭(80%;n=10)が精子形成、メス成獣の12頭(80%;n=15)が妊娠していた。こういった現状のなか、高い執着を示すタヌキの牛舎侵入を防護する方法として、牛舎のコンクリート基礎に電牧線を敷設する技術の実証試験を行った。この際同時に進入するイノシシとの多獣種対応柵を検討し、工事用、農業用資材のトリカルネットとベニア板を組み合わせ、電牧線を敷設する方法を考案した。この技術を生産現場に普及するためには、牛の飼育作業との調整、改良が望まれる。
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