2008 Fiscal Year Annual Research Report
高泌乳牛の肝機能に作用する遺伝形質の解明による繁殖性向上へのアプローチ
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19580320
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
川島 千帆 Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine, 畜産学部, 助教 (20374770)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 基純 国立大学法人帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (20374762)
木田 克弥 国立大学法人帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (70419216)
清水 隆 国立大学法人帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (90375113)
宮本 明夫 国立大学法人帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (10192767)
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Keywords | 繁殖学 / 遺伝学 / 栄養学 / 生理学 / 獣医学 |
Research Abstract |
同じ飼養管理下で同じ乳量の高泌乳牛の中にも繁殖性が良く、疾病に罹りにくい牛とそうでない牛がおり、乳量を重視した遺伝選抜が関係している可能性は少なくない。前年度は、1農家において分娩後の卵巣機能回復と成長ホルモン受容体(GHR)多型との関連性が確認されたため、今年度はさらに例数を増やすことに加え、成長や代謝状態、泌乳との関連性も育成牛を用いて調べた。 1. 分娩後の卵巣機能回復とGHR多型との関連性 2戸の牛群において、GHR多型と分娩後の卵巣機能回復との関連性を調査した。分娩後の卵巣機能回復は分娩後3週間以内での排卵の有無により評価した。その結果、分娩後3週間以内での排卵は野生型、片側変異型、両変異型の順に多くなる(P<0.05)ことが確認された。 2. 育成牛の成長および代謝状態とGHR多型との関連性 1農家において、3-12ヶ月齢の育成牛(延101頭)を対象に代謝状態(血中グルコース、遊離脂肪酸、総コレステロール、タンパク、尿素態窒素、AST、GGT、Ca、Mg、GH、インスリン様成長因子I、インスリン濃度)および成長(体高・体長・尻長・腰角・胸囲・体重)に関する因子との関連性を調査した。育成牛のGHR形質は野生型(11%)、片方変異型(44.5%)、両方変異型(44.5%)であった。GHRの形質による成長および代謝状態への影響はみられなかった。 3. 泌乳とGHR多型との関連性 1農家において、延118頭の乳牛を対象に3産までの泌乳期間の総乳量とGHR多型との関係を解析した。その結果、初産時の総乳量は片側変異型が両変異型野生型より多く(P<0.05)、野生型より多くなる傾向(P=0.07)がみられたが、野生型と片側変異型が2産日で総乳量の増加が止まったことに対し、両変異型は産次が進むにつれ、総乳量が増加した(P<0.01) 以上より、GHR多型は卵巣機能と泌乳に関連があることが示された。しかし、遺伝的影響を証明するためには、例数がまだ少ないため、今後追試を行い、さらに検討する必要があると考えられる。
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Research Products
(5 results)