2007 Fiscal Year Annual Research Report
サルソリノールによる反芻家畜の新しいプロラクチン分泌支配機構の解明
Project/Area Number |
19580321
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
橋爪 力 Iwate University, 農学部, 教授 (60124533)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
粕谷 悦子 (独)農業生物資源研究所, 研究員 (90355743)
桑山 秀人 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (40125399)
鈴木 裕之 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (50211313)
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Keywords | サルソリノール / プロラクチン / 反芻家畜 / 下垂体 / 視床下部 |
Research Abstract |
ウシの下垂体後葉中にサルソリノール(SAL)が存在するかどうか、また反芻家畜でもSALがプロラクチン(PRL)を生理的に放出させるかどうかについて検討した。30-50頭のウシから得た下垂体後葉を酢酸と冷アセトンで処理したのち、凍結乾燥してウシ下垂体後葉抽出物を調製し、Nagy教授らのHPLCシステムを用いてSALの局在を検討した結果、ウシ下垂体後葉中にもSALが存在することが明らかになった。また成熟雌シバヤギの頚静脈内にSAL(5mg、10mg/kgBW)を投与すると、血中PRL濃度は急速に上昇し、投与10分後に最高値を示すこと(P<0.05)、そして徐々に減少し80分後にほぼ基礎濃度まで低下することが分かった。PRLの放出は5mgより10mgの方が大きく用量依存的な反応を示した。8ケ月齢の去勢ホルスタイン牛の第三脳室にカニューレを装着して、SAL(1mg,5mg/頭)を第三脳室に投与した。ウシの第三脳室内にSALを1mg投与してもPRLの有意な放出は見られなかったが、5mg投与すると血中PRL濃度は上昇し、投与20分と40分後に対照区に比べて有意に高い値を示した(P<0.05)。In vitroでウシの培養下垂体前葉細胞に10_<-5>〜10_<-9>MのSALを2時間作用させ,培養液中に放出されるPRL量を対照区と比較した。その結果、10_<-6>及び10_<-5>M SALはウシの培養下垂体前葉細胞からPRLを有意に(P<0.05)放出させることが分かった。本研究の結果から、SALは生体内で反芻家畜のPRL分泌に関係する生理的な放出因子であることが、初めて明らかになった。
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Research Products
(4 results)