2007 Fiscal Year Annual Research Report
卵胞液を用いたブタ未成熟卵子の簡便な体外成熟培養方法の確立
Project/Area Number |
19580332
|
Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
永井 卓 National Agricultural Research Organization, 畜産草地研究所, 研究管理監 (20391378)
|
Keywords | 体外受精 / ブタ / 卵胞液 / 体外成熟 / 未成熟卵子 / 卵丘細胞 / 静置培養 / 回転培養 |
Research Abstract |
食肉処理場にて採取したブタ卵巣を研究室に持ち帰り、注射筒を用いて直径2〜6mmの卵胞から卵子-卵丘細胞複合体(COCs)を含む卵胞液を吸引採取し、吸引採取した卵胞液をそのままの状態で試験管(15ml)およびシャーレ(直径35mm)に入れて、卵胞刺激ホルモン(FSH)を添加後に、5%二酸化炭素濃度下、38.5℃で回転(試験管)および静置培養(シャーレ)を行った。44〜48時間成熟培養後に、核の成熟段階を調べた。その結果、成熟卵子を得る事が出来なかった。その理由として、回収した卵胞液中に多数存在する卵胞細胞および卵巣組織細胞塊の悪影響が考えられた。そこで、大きな細胞塊を取り除き、かつ、卵母細胞-卵丘細胞複合体(COCs)が通過できる篩の口径について検討した。その結果、口径212μm以上の篩を用いると、大きな細胞塊が取り除かれ90%以上のCOCsが回収された。ついで、篩を通過したCOCsを48時間静置あるいは回転培養によって成熟培養を行い、まず、卵母細胞の成熟に最適なFSH濃度を決定し、ついで、培養時の酸素分圧(5%あるいは20%)が卵母細胞の第二減数分裂中期への成熟率(M-II率)に及ぼす影響について調べた。さらに、卵胞液中への卵胞細胞添加の有無が卵母細胞のM-II率に及ぼす影響についても調べた。その結果、FSHの最適濃度は0.12IU/mlであった。また、静置培養、回転培養いずれにおいても、酸素分圧は卵母細胞のM-II率に影響がなかった。さらに、静置培養では卵胞細胞無添加、回転培養では卵胞細胞添加下で高い(M-II率)が得られた。来年度は、今年度の成果を踏まえて、成熟卵子に体外受精を行い、その後の発生を調べて、得られた体外成熟卵子が高率に発生する卵胞液のみを用いたブタ卵子の体外成熟培養方法を確立する。
|