2008 Fiscal Year Annual Research Report
卵胞液を用いたブタ未成熟卵子の簡便な体外成熟培養方法の確立
Project/Area Number |
19580332
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
永井 卓 National Agricultural Research Organization, 畜産草地研究所, 研究管理監 (20391378)
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Keywords | ブタ / 体外成熟 / 体外受精 / 卵胞液 / 胚盤胞期胚 / 体外発生 |
Research Abstract |
現在、ブタ未成熟卵子の体外成熟培養には合成培地が用いられており、培地の作成には時間とコストがかかる。一方、食肉処理場で採取した卵巣の卵胞から卵子を回収する際に、同時に回収される卵胞液を培地として用い、ブタ未成熟卵子を成熟培養して得られた体外成熟卵子が体外受精後に高率に雄性前核を形成することが報告されている。しかし、未成熟卵子の体外成熟・受精後の発生については調べられておらず、また、発生を促進すると報告されている卵胞細胞の卵胞液への影響についても調べられていない。そこで、本研究課題では、卵胞液を単独の培養液として用い、19年度は、卵胞細胞の添加が静置および回転培養による未成熟卵子の体外成熟に及ぼす影響について調べ、さらに、20年度は、得られた体外成熟卵子の体外受精後の発生能について調べた。体外成熟・受精・発生培養は、5%酸素、5%二酸化炭素90%窒素の気相下、38.5℃で行った。その結果、卵胞細胞を添加すると、静置培養した場合、減数分裂第二分裂中期(M-II)への成熟率が有意に低下し(無添加:78.3%、添加:17.5%)、逆に、回転培養では、M-IIへの成熟率が有意に高くなった(無添加:32.7、添加:67.7%)。また、卵胞液に卵胞細胞を添加して回転培養すると、卵胞細胞を添加しないで静置培養した場合よりも、有意に高い正常受精率(単精子侵入で雌雄両前核形成)(それぞれ、43.5%および27.3%)、雄性前核形成率(それぞれ、66.6%および53.0%)および胚盤胞期胚への発生率(それぞれ、8.9%および3.6%)が得られた(x2検定、P<0.05)。以上の結果から、卵胞液は単独でブタ未成熟卵子の体外成熟培養液として用いることが可能で、卵胞細胞を添加する場合は、回転培養すると、体外受精後の胚盤胞期胚への発生率が向上することが明らかになった。
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