2007 Fiscal Year Annual Research Report
ウシ成長ホルモン分泌調節機構における覚醒・睡眠リズムの役割の解明
Project/Area Number |
19580333
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
粕谷 悦子 National Institute of Agrobiological Sciences, 動物科学研究領域・脳神経機能研究ユニット, 主任研究員 (90355743)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須藤 まどか (独)農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産草地研究所栄養索代謝研究チーム, チーム長 (40355087)
櫛引 史郎 (独)農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産草地研究所栄養索代謝研究チーム, 上席研究員 (30355218)
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Keywords | ウシ / 成長ホルモン / 睡眠 / 脳 / アミン / 休息 / 生体リズム / 光環境 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ウシ成長ホルモン(GH)分泌調節における、光及び光環境の変化によって形成される覚醒・睡眠のリズムの役割を明らかにすることである。初年度である平成19年度には、ウシにおいては明確でないとされているGH分泌の日内リズムの存在を確認するとともに、GH分泌リズムに対する光刺激の影響を検討するため、以下の実験を行った。 供試動物(ホルスタイン種去勢ウシ9頭)を、12時間明期(5001x、0600-1800h):12時間暗期(10lx、1800-0600h)の環境に十分馴致し、(1)明期(日中、1100-1500h)、(2)暗期(夜間、2300-0300h)、(3)通常の点灯を含む期間(早朝、0500-0900)h、点灯0600h以降)、(4)暗期中の1時間の光暴露を含む期間て夜間光暴露、2300-0300h、点灯0000-0100h)の4期に4時間ずつ15分毎に採血を行い、血漿中のGH及びメラトニン(MEL)濃度を測定した。血漿中MEL濃度は、夜間に高く日中に低く維持されるという典型的な変動を示した(実験(1)、(2))。また早朝及び夜間の点灯では点灯後にMEL濃度は低下した(実験(3)、(4))。血漿中GH濃度には、日中に較べ夜間に明瞭な分泌亢進がみられた(実験(1)、(2))。興味深いことに、夜間に見られたGH分泌亢進は1時間の光暴露により消失し、点灯終了後に亢進がみられた(実験(4))。一方、早朝の点灯ではGH濃度に変化はみられなかった(実験(4))。 以上のことがら、ウシにおいてGH分泌の日内リズムが存在すること、またそのリズムには光刺激が関与していることが明らかとなったが、早朝の点灯による影響がみられなかったことから、光環境の変化によって形成されるウシの生体リズムもGH分泌調節に関わっている可能性が考えられる。
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