2007 Fiscal Year Annual Research Report
オボアルブミンの生理機能とオボアルブミン欠如で生じる神経管欠損症の発生機構の解明
Project/Area Number |
19580343
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
杉元 康志 Kagoshima University, 大学院・連合農学研究科, 教授 (10100736)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡 達三 鹿児島大学, 農学部, 教授 (50116795)
日下部 宜宏 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (30253595)
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Keywords | オボアルブミン / 神経管欠損 / 熱安定型オボアルブミン / 形態形成 / 生理機能 |
Research Abstract |
卵白の主要タンパク質であるオボアルブミンはセルピンファミリーに帰するが、その生理機能はよく分かっていない。オボアルブミンを抗体で胚への吸収をブロックした場合、神経管欠損症(NTD)となり、脳形成が阻害される。オボアルブミン欠損がNTDを引き起こす原因を解明するため、遺伝子発現、特に神経管閉鎖に関わる形態形成因子について調べた。最も、影響を受けた遺伝子はFGF8であり、正常胚の20%程度しか発現していなかった。Sonic hedgehog、BMPなどは正常であった。このことから神経細胞への分化を誘導するFGF8の分泌が低下することによってBMPの機能を抑制できず、BMPの上皮組織細胞への分化を促進するため、神経管細胞の分化が阻害されると結論した。また、FGF8シグナルの下流にあるRAS-ERKシグナルについても検討した。FGF8はBMP活性をブロックするが、WntはFGF8をブロックすることから、Wntおよびその下流因子であるβ-cateninの発現を調べた結果、Wntおよびβ-cateninはNTD胚ではやや亢進していた。また、whole mount in situ hybridizationを使った実験では、FGF8は後脳前部、中脳/小脳狭部および尾部に発現しているが、NTD胚では後脳前部と狭部での発現が極端に低下していた。狭部オーガナイザーであるFGF8の発現低下がNTDの発生を引き起こし、オボアルブミンはFGF8に直接あるいは間接的に作用し、神経管形成に関与する胚の必須因子である。胚のアミノ酸源としてしか位置付けられなかったオボアルブミンが形態形成に関与する必須因子であることを明らかにした。
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