2008 Fiscal Year Annual Research Report
オボアルブミンの生理機能とオボアルブミン欠如で生じる神経管欠損症の発生機構の解明
Project/Area Number |
19580343
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
杉元 康志 Kagoshima University, 大学院・連合農学研究科, 教授 (10100736)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡 達三 鹿児島大学, 農学部, 教授 (50116795)
日下部 宜宏 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (30253595)
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Keywords | オボアルブミン / 神経管欠損 / 熱安定型オボアルブミン / 形態形成 / 生理機能 |
Research Abstract |
ニワトリの発生には卵白の役割が重要であるが、その詳細は未解決である。卵白の主要タンパク質であるオボアルブミンはセルピンファミリーに属しているが、その生理機能は不明である。オボアルブミンを抗体で胚への吸収をブロックした場合、神経管欠損(NTD)胚となり、中枢神経系などの脳形成が阻害される。オボアルブミン欠損がNTDを引き起こす原因を解明するため、オボアルブミンと神経管閉鎖に関わる形態形成因子の関係について調べた。最も、影響を受けた遺伝子はFGF8であり、正常胚の20%程度しか発現していなかった。Sonic hedgehog、BMPなどは正常であった。このことから神経細胞への分化を誘導するFGF8の分泌低下が大きな要因と考えられ、FGF8によってその機能が抑制されているBMPの機能が亢進し、BMPによる上皮組織細胞への分化が促進され、神経細胞への分化が阻害されることにより神経管の形成がうまく行かず閉鎖しないと考えられた。オボアルブミンは神経管全体に局在しておりその大部分は細胞の核に観察される。胚ではオボアルブミンの合成は行われないことから、そのオリジンはオボアルブミンは卵白から移行するもので初期発生では直接、血管系の形成後は血管を通して、消化系の形成後は腸管より胚に吸収されることから、神経管形成期は特異的なレセプターを介して取り込まれると推定される。オボアルブミンは分解されることなく多くの胚組織でその機能を果たしており、他の成分と相互作用をすることで胚発生に関与している。より明確な機能の解明が期待された。
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