2008 Fiscal Year Annual Research Report
小腸における酸化ストレス及びマクロファージの2型メモリー免疫応答誘導への関与
Project/Area Number |
19580344
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
森本 素子 Miyagi University, 食産業学部, 准教授 (30250301)
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Keywords | 酸化ストレス / 寄生虫 / 2型免疫応答 / サイトカイン / マクロファージ / 遺伝子発現定量解析 / 小腸 / 加齢 |
Research Abstract |
2型メモリー免疫応答の詳細を明らかにし、さらに、酸化ストレスの関与について検討するため、消化管内寄生虫であるHeligmosomoides polygyrus(Hp)をマウスに感染させて2型免疫応答を誘導し、(1)線虫が消化管粘膜に形成するシスト周辺に集積する免疫担当細胞のフェノタイプの決定、その領域におけるサイトカイン遺伝子の発現定量解析および粘膜組織の修復、(2)酸化ストレスの増大する加齢期のマウスモデル(18ヶ月齢)における2型免疫応答の変化、について検討した。(1)再感染時には、シスト周辺に非炎症性マクロファージ(AAMacs:CD206^+F4/80^+)が多数集積しており、その領域において2型サイトカインの遺伝子発現が初感染群に比較して著しく増大していた。また、初感染群では、小腸粘膜に観察されるAAMacsの集積も再感染群に比較して明らかに少なかった。したがって、メモリー応答時には非常に強い2型免疫応答が特にシスト周辺に起こって虫を排除し、さらにAAMacsへの分化が促されることが示唆された。(2)加齢期には、酸化ストレスによってNF-kBの活性が増大することが知られており、3ヶ月齢群において線虫の感染後に誘導されるIL-4およびIL-13遺伝子の発現は、18ヶ月齢群では有意に低い値を示した。また、2型サイトカインによって誘導され、炎症を抑制し組織修復を促すとされるAAMacsのマーカーであるARG-1も18ヶ月齢群で有意に低下していたが、通常1型免疫応答時に活性化する炎症性サイトカイン(TNFa、IL-6)遺伝子の発現が増大していた。小腸組織観察では、18か月齢群では感染部位の組織修復不全または遅延が見られた。したがって、酸化ストレスの強い老齢期には2型免疫応答が十分に誘導されず、非炎症性マクロファージへの分化が抑制され、炎症性マクロファージが活性化されること、その結果として組織修復が不完全となることが示唆された。
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Research Products
(1 results)