2007 Fiscal Year Annual Research Report
メタボリックシンドロームおよび精神疾患に対するアクチビンEの有用性
Project/Area Number |
19580347
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
橋本 統 Kitasato University, 獣医学部, 講師 (90317058)
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Keywords | メタボリックシンドローム / インスリン感受性 / TGF-β / アクチビン / トランスジェニックマウス / 糖 / エネルギー代謝 / 行動 / 精神疾患 |
Research Abstract |
Transforming growth factor-βスーパーファミリーに属する分化・増殖因子であり、肝臓特異的に発現が認められるアクチビンEの機能解析を目的に、アクチビンE遺伝子を過剰に発現させたトランスジェニック(Tg)マウスを作製した。このTgマウスは糖代謝異常さらには攻撃性の亢進などの異常行動を示した。本年度はこれらの表現型の詳細な解析を行った。 過剰発現させたアクチビンEは血中においてウエスタンブロティング法により検出された。このTgマウスのオスにおいて、体重や摂餌量は野生型との差異は認められなかったが、血糖値が同腹の野生型と比べ低下していた。グルコースおよびインスリン負荷試験の結果、インスリン感受性が増大していることが示された。さらに、Tgマウスは同腹の野生型と比べ体温が上昇していた。また、肩甲骨間の褐色脂肪組織の重量低下が認められ、組織学的には細胞内の脂肪滴が小さくなっていた。この褐色脂肪細胞においてエネルギーを熱へと変換する役割を担う、脱共役タンパク質(UCP1)の発現がTgマウスにおいて亢進していた。以上のようにアクチビンEはエネルギー代謝を活性化することでインスリン感受性を高め、血糖値を低下させる機能を有することが示唆された。 また、このTgマウスの行動学的解析の結果、オスでは高い攻撃性を示し、20%は噛みつき行動がみられた。メスでは不安感が減少していることがわかった。これらの異常行動は脈絡叢に異所性に発現したアクチビンEの影響であると考えられた。 次に、組換えアクチビンE蛋白質の精製法の確立を行うためにC末端にFLAGタグを付加したアクチビンEを産生するHEK293細胞を樹立した。 アクチビンE-Tgマウスの詳細な解析と組換えアクチビンEの生物活性の解析はメタボリックシンドロームや精神疾患に対する治療薬開発などに有用であると考えられる。
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Research Products
(4 results)