2008 Fiscal Year Annual Research Report
成熟脂肪細胞に由来する神経系細胞の分化特性および移植に関する研究
Project/Area Number |
19580348
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
加野 浩一郎 Nihon University, 生物資源科学部, 准教授 (80271039)
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Keywords | 脂肪細胞 / 脱分化 / 分化転換 / 神経系細胞 |
Research Abstract |
in vivo外傷性脊髄損傷モデルマウスを用いた種々の幹細胞あるいは前駆細胞の移植実験において、移植細胞の状態がその後の組織形成に及ぼす影響については殆ど明らかにされていない。本年度は、DFAT由来の神経系細胞の移植条件を調べるための予備検討として、我々がすでに確立している脂肪細胞分化誘導培養系においてDFATを種々の分化段階で移植し、脂肪組織形成の状況を詳細に調べた。コンフルエント期(C期)は血管新生因子のbFGF、VEGF-AおよびAng-1を発現したが、脂肪細胞分化マーカーであるPPARg2およびGLUT4の発現は認められなかった。分化初期(ED期)ではPPARg2およびGLUT4の発現が示され、上記の血管新生因子に加えてAng-2の一過的な発現増加が認められた。分化後期(LD期)ではPPARg2およびGLUT4の発現は増加したが、血管新生因子の発現はほとんど認められなかった。ついでこれらのDFAT-GFPをマウス胸部皮下に移植し、その後の動態について組織学的に調べた。C期では線維芽細胞のみが観察され、血管の発達はほとんど認められなかった。一方、ED期では移植塊内において血管新生が顕著に認められ、発達した白色脂肪組織を形成した。LD期では、移植塊内において血管の発達は全く認められず、移植細胞のほとんどが分化状態を維持できずにネクローシスを起こした。以上の結果から、ED期のDFAT-GFPを移植した時のみ脂肪組織を形成することから、前駆脂肪細胞の分化程度が移植後の脂肪組織形成に影響することが示された。次年度は、DFAT由来の神経系細胞の移植条件を明らかにする目的で、種々の分化初期段階の神経系細胞の特性について調べたい。
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Research Products
(4 results)