2009 Fiscal Year Annual Research Report
微小管結合蛋白質Spag5の機能解析と精巣形成不全症の遺伝子導入による救済実験
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19580350
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
鈴木 浩悦 Nippon Veterinary and Life Science University, 獣医学部, 准教授 (50277662)
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Keywords | Spag5 / Astrin / 精巣 / 不妊 / 精巣形成不全 / アポトーシス / 腎低形成 / 細胞増殖 |
Research Abstract |
本研究は、Spag5/Astrinの機能喪失型突然変異を有する精巣形成不全症(hgn/hgn)ラットが、生殖腺と腎臓の低形成および全身の成長遅延を生じるメカニズムを調査し、in vivoでのSpag5/Astrinの生理機能を明らかにすることを目的としている。具体的には、胎生期から生後初期のhgn/hgnラットの臓器の病理発生を、特に細胞分裂と細胞死の観点から精査する。さらに、Spag5のトランスジェニック(Tg)ラットを作製し、HGN系統と交配することで、hgn/hgnラットでSpag5を発現する動物(hgn/hgn-Tg(Spag5+))を作出し、表現型が救済されるか否かを調査する。これらの実験により、Spag5が真に精巣形成不全症の責任遺伝子であることを確認でき、hgn/hgnラットの多面的表現型がSpag5の異常により直接引き起こされていることを立証できると考えられる。昨年度、全身性に発現する様にCAGベクターにつないだSpag5 cDNAを正常ラットに導入し、Spag5-Tgラットを作出した。本年度は、それをHGN系統に導入することで、hgn/hgn-Tg(Spag5+)ラットを得て、その表現型を解析した。hgn/hgn-Tg(Spag5+)ラットは、正常に生育し、腎臓の重量は正常と同様で、ネフロン数も正常であった。精巣はhgn/hgn-Tg(-)において正常の約1%の重量であったのに対して、hgn/hgn-Tg(Spag5+)では正常の約30%であった。副生殖器の重量は正常と同等であった。hgn/hgn-Tg(Spag5+)の精巣組織では精子形成が確認され、発情前期の雌と同居させたところ、正常な交尾行動を示し、雌は妊娠し、産子数も正常であった。これらのことから、hgn/hgnで見られる腎低形成症と不妊はSpag5の導入により救済されることが立証された。
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Research Products
(11 results)