2008 Fiscal Year Annual Research Report
牛クリプトスポリジウム症制圧に向けたリポソームワクチンの開発
Project/Area Number |
19580358
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
渡来 仁 Osaka Prefecture University, 生命環境科学研究科, 准教授 (50175139)
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Keywords | リポソーム / ワクチン / クリプトスポリジウム / ウシ / 粘膜免疫 |
Research Abstract |
本研究は、免疫担当細胞への抗原搬送能に優れるリポソームにpH感受性膜融合能を持たせ、牛クリプトスポリジウム感染症予防に効果的なpH感受性膜融合リポソームワクチンの開発を目指した基礎的研究を目的として行われた。平成20年度においては、pH感受性膜融合リポソームについて検討するとともに、pH感受性膜融合リポソームによる免疫誘導実験を行い、下記の研究成果を得た。 (1)pH感受性膜融合リポソームの最適化 pH感受性膜融合リポソームに封入された抗原の免疫原性を高めるために、抗原提示細胞内に封入抗原を効率よく搬送できるpH感受性膜融合リポソームの脂質組成の検討を行った。その結果、リポソームの構成脂質として相転移温度の低いリン脂質を用いることによりリポソームの膜融合能が高まり、抗原提示細胞内に封入抗原を効率よく搬送できることが明らかとなった。このことにより、免疫誘導を強く促すことのできるpH感受性膜融合リポソームの最適化が図れた。 (2) Cryptosporidium parvum抗原の調整ならびに免疫誘導実験 C. parvum感染牛の糞便からC. parvumオーシストを精製し、凍結融解・超音波処理により免疫用C. parvum不活化・破砕抗原を得た。最適化リポソームに調整されたC. parvum抗原を封入し、マウスに経鼻免疫を行い、全身ならびに粘膜局所に抗C. parvum抗体の誘導を強く促すことができるか検討した。その結果、経鼻免疫後、血清ならびに腸管にC. parvum抗原に対する抗体(IgGならびにIgA抗体)の産生が確認された。また、誘導される免疫応答について解析した結果、液性免疫のみならず細胞性免疫の誘導が確認された。 以上の結果から、牛クリプトスポリジウム症に対するリポソームワクチン開発の可能性が示された。
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