2008 Fiscal Year Annual Research Report
ボツリヌスC・Dモザイク神経毒素の持つ特異構造の解析と診断法の開発
Project/Area Number |
19580360
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
小崎 俊司 Osaka Prefecture University, 生命環境科学研究科, 教授 (10109895)
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Keywords | ボツリヌス菌 / 神経毒素 / 受容体 / ガングリオシド / ボツリヌス症 |
Research Abstract |
C型およびD型毒素と受容体の結合様式を明らかにするために、受容体をリポソームに組み込んだ状態でセンサーチップに固定化し、受容体含有リポソームと重鎖C末端領域(Hc)の相互作用を表面プラズモン共鳴で解析した。C型HcはガングリオシドGTlb含有リポソームに特異的に結合し、その結合様式は1:1であった。またD型Hcはフォスファチジルエタノールアミンと特異的に結合し、その結合様式はC型とは異なり、2つの結合部位が存在することが予想された。牛ボツリヌス症由来菌が産生するD/Cモザイク神経毒素(BoNT/DC)を精製した。BoNT/DCの比活性は、他の型と比較して最も高かった。BoNT/DCのポリクローナル(pAb)およびモノクローナル抗体(mAb)を得た。pAbはIgG分画からBoNT/DC、BoNT/CおよびBoNT/D結合カラムでアフィニティー精製を行った。精製pAbはblottingにより、BoNT/DCのHcのみに反応し、BoNT/DCには特有の抗原決定基がHcに存在することが明らかになった。Sandwich ELISA法を確立する目的で、固相化抗体とビオチン標識抗体の組み合わせを検討し3,000LD_<50>/mlのBoNT/DCを検出できた。これら抗体を用いたイムノクロマトキットのプロトタイプを作製し、BoNT/DCおよび精製L毒素の検出感度を調べた。最も検出感度が高い抗体の組み合わせで100LD_<50>/mlのBoNT/DCを検出できたが、L毒素の検出感度は1,000LD_<50>/mlであった。イムノクロマトキットでSandwich ELISA法よりも簡便な操作でBoNT/DCを検出することができた。本研究で得られた成果はこれまで未知であったC型、D型およびBoNT/DCの性状を明らかにし、現在も全国で散発しているボツリヌス症感染牛の摘発の一助のなることが期待される。
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Research Products
(3 results)