2007 Fiscal Year Annual Research Report
悪性水腫及び気腫疽の発症に関わるガス壊疽菌群産生壊死毒の病原性発現機構の解明
Project/Area Number |
19580361
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
向本 雅郁 Osaka Prefecture University, 生命環境科学研究科, 准教授 (80231629)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小崎 俊司 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (10109895)
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Keywords | ガス壊疽 / 気腫疽 / クロストリジウム / 細胞壊死毒素 / 心臓 / 心不全 / septicum / chauvoei |
Research Abstract |
自立拍動するラット胎児の初代心筋細胞を用いてClostridium septicumα毒素の心停止機構の分子レベルでの解析を行った。α毒素の細胞内αアクチンへの結合と心筋細胞の急激な自立拍動停止との関連を証明するため、α毒素とアミノ酸の相同性が高く、細胞への受容体が同じであるがαアクチンとは結合しないAeromonas hydrophilaの溶血毒素(Aerolysin)の自立性拍動への作用について調べた。Aerolysinはα毒素と比較して低濃度で、短時間に自立性拍動を停止させた。このことはα毒素の心筋細胞αアクチンとの結合が拍動停止における必須の条件ではないということを示している。そこで、心停止時における細胞膜上でのオリゴマー形成について、α毒素処理した心筋細胞を可溶化し、抗α毒素抗体を用いたイムノブロッティングにより解析した。その結果、拍動停止時にα毒素はすでにオリゴマーを形成していることが明らかになった。この結果は、心停止が受容体への結合によるシグナル伝達によって引き起こされるのではなく、細胞膜上での孔形成が引き金になっている可能性が高いと考えられる。来年度は孔形成時の細胞内イオン動態について詳細に解析することにより心停止機構を明らかにする予定である。 気腫疽の原因菌であるC.chauvoeiが産生する細胞壊死毒素の毒性発現機構を分子レベルで解析するため、哺乳動物由来株化細胞の感受性を調べた。赤血球においては齧歯類やイヌ、ウマではほとんど感受性がなかったが、イヌ腎臓由来MDCK細胞およびマウス結合織由来L929細胞、に対して本毒素は細胞壊死を引き起こした。しかしながら感受性は牛腎臓由来MDBK細胞においてもC.septicum由来α毒素と比較して10倍程度低かった。今後はこの細胞壊死機構を明らかにするため細胞への結合から孔形成にいたる毒素の動態を分子レベルで解析する予定である。
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