2008 Fiscal Year Annual Research Report
悪性水腫及び気腫疽の発症に関わるガス壊疽菌群産生壊死毒の病原性発現機構の解明
Project/Area Number |
19580361
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
向本 雅郁 Osaka Prefecture University, 生命環境科学研究科, 准教授 (80231629)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小崎 俊司 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (10109895)
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Keywords | ガス壊疽 / 気腫疽 / クロストリジウム / 細胞壊死毒素 / 心臓 / 心不全 / septicum / chauvoei |
Research Abstract |
昨年に続いて自立拍動するラット胎児の初代心筋細胞を用いてClostridium septicumα毒素の心停止機構を分子レベルで解析した。α毒素を心筋細胞に添加すると、まず心筋細胞の拍動リズムが速くなり、細胞死が起こる前に急速に拍動停止に至った。拍動停止直後の心筋細胞膜上においてα毒素のoligomer形成が確認された。そこで心拍動停止へのα毒素oligomer形成の関わりについて調べた。Vero細胞など種々の株化細胞において、α毒素のoligomer形成にはコレステロールが必須であったが、心筋細胞においてはコレステロールを除去した場合もα毒素添加により拍動が停止し、拍動停止直後の細胞からoligomer形成毒素が検出された。パルミチン酸処理によりα毒素のpore形成を阻害させた時、拍動停止時間の大幅な延長がみられた、oligomer形成が維持されていたことから心筋細胞の拍動停止はpore形成が引き金となって誘導されるということが明らかとなった。 気腫疽の原因菌であるC. chauvoeiが産生する細胞壊死毒素(α毒素)の赤血球膜上でのoligomer形成における温度の影響について解析した。C. septicumのα毒素は低温状態ではコレステロールの流動性が弱まるためoligomer形成が減少したが、C. chauvoeiのα毒素は4℃での反応においてもoligomer形成は37℃の時と比較して50%程度の減少に留まった。このことは、C. chauvoeiのα毒素のoligomer形成にはコレステロールが関与していない可能性を示唆している。
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