2008 Fiscal Year Annual Research Report
ウシ乳腺組織における感染防御機構の解明とその機能修飾に関する研究
Project/Area Number |
19580362
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
樋口 豪紀 Rakuno Gakuen University, 獣医学部, 准教授 (00305905)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永幡 肇 酪農学園大学, 獣医学部, 教授 (10133571)
寺岡 宏樹 酪農学園大学, 獣医学部, 教授 (50222146)
岩野 英知 酪農学園大学, 獣医学部, 准教授 (60382488)
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Keywords | 乳腺上皮細胞 / 好中球 / 活性酸素生成能 / 細胞内情報伝達系 |
Research Abstract |
本年度の研究では(1)乳腺上皮細胞による免疫担当細胞の機能修飾機構の解明、(2)免疫修飾物質が乳腺上皮細胞および免疫担当細胞との相互作用に及ぼす影響、について検討した。まず、(1)については先に確立した乳腺上皮細胞の培養系に、牛由来白血球(好中球)を添加して一定時間の混合培養を行った後、回収し活性酸素生成能および細胞内情報伝達系について解析した。その結果、乳腺上皮細胞との混合培養により白血球機能および細胞内情報伝達系とも、亢進することが明らかになった。また、培養上清の解析を行ったところ、培養上清中にはラクトフェリンの顕著な上昇が認められた。ラクトフェリンはin vitroにおいて免疫機能増強作用が報告されていることから、乳腺由来のこうしたタンパク質によって、好中球機能が修飾されたものと推察された。乳腺細胞からは、他にもアルブミンやグロブリン等の分泌も報告されており、ラクトフェリンも含めこれらとの関連性をin vitroにおいて精査する必要があるものと判断された。(2)については、これらに血清処理(血清と混合)したαトコフェロールを添加し、その影響を検討した。その結果、αトコフェロールの添加は、乳腺上皮細胞および白血球の生存率を効果的に延長させるとともに、両細胞の相互作用によって誘導される機能上昇および細胞内情報伝達系はより促進されることが明らかになった。これらの結果から、本課題において、従来乳汁合成が主たる機能と考えられてきた乳腺上皮細胞が、免疫系にも影響している可能性が、細胞生物学的解析より明らかになった。
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