Research Abstract |
難治性ウイルス感染症ならびに腫瘍における急性期糖蛋白変動解明と新規機能発見を目的に以下の研究を実施した. (1)AGP遺伝子検出:マウス肝臓からRNAを抽出し,AGPの遺伝子検出を試みた結果,無刺激では検出されなかったのに対し,LPS刺激を行ったところ,検出可能であった.これから,全翻訳領域をクローニングし,大腸菌発現ベクターに組込み,蛋白発現を試みたところ,低レベルであり,ベクターの選別,哺乳動物細胞での発現を考慮する必要があると考えられた. (2)糖鎖解析:ウシAGPおよびネコの分離精製法を確立し,lectin affinityにより糖鎖解析を行ったところ,ウシではConA親和性の高い画分と低い画分が存在し,Mannose結合性の異なる分子が存在した.ネコではConA, DSA, SAA, UEA-1と結合したことから,Man, GlcNAc, Siaα2-6Gal/GalNAc, Fucα1-2GalB-1-4G1cNAcの糖鎖構造を有することが確認された.また,混合型2分岐グリカンあるいは3分岐以上のグリカンの糖鎖を有することが判明した. (3)各種疾患罹患動物における血清AGP濃度と糖鎖変動:ウシの血中濃度を単純放射状免疫拡散法にて測定したところ,正常血清濃度は約0.03mg/mlであり,肺炎,ウシ白血病(リンパ腫)などの疾患牛で上昇し,胎仔,アミロイドーシスなどで低値を示した.特にウシ白血病罹患牛ではConA親和性の多形がみられている.ネコ血清AGPをdirect binding ELISA法により測定したところ,AGP濃度0.02-0.25μg/mlの範囲で測定可能であり、ネコ血清中AGPレベルは1.37±1.147mg/mlであった.その分布は2峰性を示し.ネコの健康状態により変動することが推察され,中でもFIP罹患ネコでは高値を示した.その他,難治性疾患の基礎研究としてFIPの病態解析,レクチンの免疫機能に及ぼす研究などを実施している.
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