2007 Fiscal Year Annual Research Report
黄色ブドウ球菌由来スーパー抗原性毒素に対するウシ乳腺上皮細胞の免疫応答機構解明
Project/Area Number |
19580374
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
林 智人 Tokyo University of Science, 生命科学研究所, 講師 (90297630)
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Keywords | 黄色ブドウ球菌 / スーパー抗原性毒素 / 乳腺上皮細胞 / 免疫応答 / ウシ乳房炎 |
Research Abstract |
黄色ブドウ球菌を原因とする乳房炎では、感染菌が免疫系の破綻を惹起するスーパー抗原を高率に産生することから、菌由来スーパー抗原が炎症発症あるいは症状の重篤化に関与している可能性がある。本研究では炎症時主に傷害を受けるとされる乳腺上皮細胞を用いたin vitro実験細胞培養実験系を用い、乳腺上皮細胞の活性化におよぼす細菌性スーパー抗原の直接的あるいは免疫系の細胞の刺激を介した間接的な影響を解析した。 その結果本年度以下の研究成果を得ることが出来た。 1、陽性コントロール(大腸菌リポ多糖)を用いた乳腺上皮細胞への直接刺激実験では、いくつかの特異的なサイトカイン遺伝子の発現上昇が見られたのに対し、スーパー抗原刺激ではいずれのサイトカイン遺伝子の変化も見られなかった。 2、スーパー抗原で刺激した末梢血リンパ球の培養上清を乳腺上皮細胞に添加した間接刺激においては、特徴的にインターロイキン-15mRNAの発現上昇が見られた。 3、遺伝子組換え型ウシインターフェロン-g(IFN-g)の単独刺激においても、スーパー抗原で刺激した末梢血リンパ球の培養上清を乳腺上皮細胞に添加した間接刺激と同様にインターロイキン-15mRNAの発現上昇が見られた。 以上のことから、黄色ブドウ球菌由来のスーパー抗原は免疫系細胞の反応(特にIFN-g)の作用を介してBMECを活性化することが示唆された。今後は介在した免疫細胞の特定とその機能分子を明らかにするとともに、BMECが産生するIL-15の機能との炎症発症との関係をさらに明らかにしていく必要があると考えている。
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Research Products
(3 results)