2008 Fiscal Year Annual Research Report
酸性廃水及び高塩濃度廃水の効率的メタン発酵処理に向けた微生物群集の構築と制御
Project/Area Number |
19580377
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
加来 伸夫 Yamagata University, 農学部, 准教授 (80359570)
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Keywords | メタン発酵 / 難処理廃水 / 酸性廃水 / アルカリ性廃水 / 高塩濃度廃水 / 廃棄物再資源化 / 微生物接種源 / バイオマス |
Research Abstract |
酸性河川堆積物、酸性火口湖堆積物、牛舎廃水汚泥(牛排泄物嫌気消化汚泥)、そして海洋底泥を微生物接種源として用いることにより、酸性、アルカリ性、高塩濃度といった各条件の合成廃水を安定して処理可能なメタン発酵系を構築し、その特性を調べることを目的として実験を行った。各接種源をスラリー状にして、各条件の合成廃水培地に接種して30℃で継代培養を行いメタン発酵系の確立を試みた。酸性火口堆積物または酸性河川堆積物を接種源としたとき、pH3の培地ではメタン発酵系を確立することができたが、pH2の合成廃水培地では確立できなかった。pH3の培地の系ではpHが中性付近で維持されたが、pH2の培地の系ではpHが4.5以下となっていた。このことから、酸性環境から採取した試料を接種源とした場合でも集積培養のpHが中性付近で維持されないとメタン生成が進行せず、発酵系の持つpH緩衝能を超える低pHの合成廃水はメタン発酵処理できないことが分かった。牛舎廃水汚泥をpH11の合成廃水培地に接種して集積培養した系では比較的活発なメタン生成が観察され、培養のpHは9.3以下で維持されていた。培養のpHが9.4を超える場合にはメタン生成が低下し、pH12や13の培地を使用した場合にはpHが9.4を超えてしまったためメタン生成が進行しなかった。海洋底泥を接種源として高塩濃度条件で集積培養したところ、NaCl濃度が7.5%の培地を使用した場合でも比較的活発なメタン生成が進行することが分かった。以上の結果から、各難処理合成廃水培地を使用した集積培養系の安定性に関わる要因の一部が明らかになった。なお、高塩濃度条件の系について、微生物群集構造解析と有用微生物の分離を開始した。
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Research Products
(3 results)