2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19580386
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Research Institution | Osaka University of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
辻坊 裕 Osaka University of Pharmaceutical Sciences, 薬学部, 教授 (90175464)
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Keywords | キチン / キチナーゼ / キチン分解細菌 |
Research Abstract |
一般に、細胞内に取込まれたGlcNAcは、グルコサミン-6-リン酸(GlcN6P)に変換された後、解糖系および細胞壁生合成に利用される。GlcN6P生合成酵素(GlmS)はこの両経路の分岐点に位置しており、フルクトース-6-リン酸からGlcN6Pを合成する重要な役割を果たす酵素として注目されている。 Alteromonas sp. 0-7株(現在Pseudoalteromonas piscicida 0-7株)のglmS遺伝子をクローニングし、その上流域にDeoRファミリーに属する調節タンパク質であるglmR遺伝子が、さらに膜タンパク質と推測される6回繰り返しPKD領域から成るユニークなタンパク質をコードするpkdA遺伝子がglmR遺伝子の上流域に存在することを認めた。GlmS、GlmRおよびPkdAタンパク質が本菌のキチン分解系に関与するか否かを明らかにする目的で、それら遺伝子の発現量について検討した。その結果、glmS遺伝子およびglmR遺伝子の発現量は、GlcNAc存在下で抑制されたが、pkdA遺伝子の発現量には変化が認められなかった。glmR遺伝子はglmS遺伝子の10塩基上流に存在し、GlcNAc存在下でともに抑制されたことから、両遺伝子がオペロンを形成しているかどうかについて検討した。その結果、これらの遺伝子はオペロンを形成していることを明らかにした。DeoRファミリーに属するタンパク質は、リン酸化糖と結合して転写を抑制するリプレッサーである。そこで、GlmRタンパク質の発現系を構築し、GlmRタンパク質のDNA結合能を調べた。その結果、GlmRタンパク質は、glmRSオペロンの上流域に結合し、GlcN6P存在下で結合能が増大することを明らかにした。さらに、GlmRタンパク質のシス配列をフットプリント法により解析を行い、開始コドンの上流域に存在する5'-CCTTAAATTTCGAAACGAAACTT-3'にGlmRタンパク質が結合することを認めた。次に、PkdAタンパク質のキチン分解系における役割を調べる目的で、発現系を構築した。精製したPkdAタンパク質のα-キチン、β-キチン、キトサンおよびアビセルに対する結合能について検討した結果、PkdAタンパク質はこれらの高分子多糖に結合することが明らかとなった。現在、PKDAタンパク質の局在部位について検討しているところである。
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Research Products
(6 results)