2008 Fiscal Year Annual Research Report
「リソソーム・液胞系」タンパク質分解による細胞の環境適応機構の分子基盤
Project/Area Number |
19580391
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
新谷 尚弘 Tohoku University, 大学院・農学研究科, 准教授 (70374973)
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Keywords | 環境応答 / タンパクム / リソソーム・液胞 / タンパク質分解 / 異常分泌タンパク質 / 出芽酵母 |
Research Abstract |
1. 異常タンパク質の液胞におけるクリアランス機構 小胞体関連分解(ERAD)で分解されるカルボキシペプチダーゼYの変異体(CPY*)にインベルターゼを融合したCPY*-InvはERADを回避し、Vps10依存的に液胞で分解された。Vps10は1579アミノ酸からなる一回膜貫通型タンパク質であり、野生型のCPYを始めとする液胞加水分解酵素のレセプターとして機能することが知られている。しかし、Vps10によるCPYとCPY*-Invの認識機構は異なっていた。さらに、CPYの液胞への輸送が特異的に低下するVps10変異体を数種取得した。これらの変異点を解析した結果、1000-1070番目のアミノ酸残基領域に集中してアミノ酸置換が起こっており、この領域がCPYの認識に関わることが示唆された。 2. 外界環境の変化に伴う細胞膜タンパク質の液胞による選択的ターンオーバーの制御機構 出芽酵母のモノカルボン酸輸送体Jen1は転写レベル、翻訳後レベルでグルコースによるカタボライト抑制を受ける。出芽酵母の遺伝子破壊株ライブラリーを用い、グルコースに依存したJen1タンパク質の分解に関与する遺伝子をスクリーニングした結果、エンドサイトーシス(END3, END4, SLA1, SAC6など)、液胞への輸送(VAM7, VPS8, VPS16, VPS41など)、エンドソームからゴルジ体への輸送(VPS35, YPT6, VPS63など)、ユビキチン代謝(DOA4)など膜タンパク質の代謝に関わることが知られていた遺伝子の他に糖鎖修飾(MNN11)や脂質修飾(SWF1)に関わる遺伝子が関与することが示された。 3. オルガネラ・プロテオミクスによる「リソソーム・液胞系」タンパク質分解の総合理解の試み 野生型および液胞プロテアーゼ欠損株から液胞を単離し、構成タンパク質を解析したところ、プロテアーゼ欠損株特異的に検出されるタンパク質が多数見出された。今後これらを同定する。
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