2007 Fiscal Year Annual Research Report
三次元培養ヒト皮膚モデルの細胞機能と形態形成に及ぼすGSK-3制御藥剤の作用
Project/Area Number |
19580393
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
西山 敏夫 Tokyo University of Agriculture and Technology, 農学部, 教授 (60372455)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安達 栄治郎 北里大学, 医学系研究科, 教授 (30110430)
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Keywords | 三次元培養 / 皮膚モデル / Wint / β-catenin / ケラチノサイト / 線維芽細胞 / GSK-3 / BIO / 増殖 |
Research Abstract |
平成19年度は、単層培養系と三次元培養系を用い、ヒト新生児皮膚ケラチノサイト(HK)とヒト新生児皮膚線維芽細胞(HF)の細胞活性に及ぼすWnt/β-cateninシグナルを促進するGSK-3阻害剤(6-bromoindirubin-3'-oxime(BIO))の作用について検討した。 (1)HKの増殖性、分化への影響:BIOはHKの増殖を濃度依存的に促進することを見出した。0.1μMが至適濃度であった(1.4倍促進)。0.5μMでは増殖抑制された。HKの分化状態を分化特異マーカーの遺伝子発現で解析するために、ケラチン1,5,10,14、インボルクリン、フィラグリン発現アッセイ系を構築した。予備実験ではCa^<2+>添加によるHK分化の抑制は明確でなかった。 (2)HFの増殖性への影響:BIOはHFの増殖を濃度依存的に促進することを見出した。0.1μMで1.25倍、0.5μMで1.6倍促進された。至適濃度の0.5μMで、細胞外マトリックス関連遺伝子発現への影響をオリゴアレイでの解析中である。 (3)三次元培養ヒト皮膚モデルへの影響:HK、HFともに増殖促進される0.1μMのBIOを用いて、我々の開発した方法で三次元培養ヒト皮膚モデルを作製し、第1回目の実験として皮膚モデルへの影響を組織学的に解析した。BIOを添加した皮膚モデル系では、表皮重層化は変化ないが、表皮分化マーカーの発現領域が拡大していた。一方、表皮一真皮結合部への基底膜成分の沈着が減少していた。電子顕微鏡での微細構造解析から、基底表皮細胞の基底面に厚さ30nmほどのラミナデンサがほぼ全域にわたって観察されたが、その電子密度は低かった。また、基底膜側のHKの細胞膜周辺にはいくつもの小胞が連なって観察され、さらに小胞内には顯粒の存在も確認できた。このことは、タンパク質分泌の盛んな状態を示していると考えられた。 以上の結果から、BIOの添加により、HKの増殖活性が促進され、さらに基底膜側への基底膜成分等の分泌が促進されていると推察される。
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Research Products
(3 results)