2008 Fiscal Year Annual Research Report
三次元培養ヒト皮膚モデルの細胞機能と形態形成に及ぼすGSK-3制御薬剤の作用
Project/Area Number |
19580393
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
西山 敏夫 Tokyo University of Agriculture and Technology, 農学部, 教授 (60372455)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安達 栄治郎 北里大学, 医学系研究科, 教授 (30110430)
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Keywords | 三次元培養 / 皮膚モデル / Wnt / β-catenin / ケラチノサイト / 線維芽細胞 / GSK-3 / BIO / 増殖分化 |
Research Abstract |
平成20年度は、ヒト表皮角化細胞(HK)、ヒト真皮線維芽細胞(HF)ならびに三次元培養ヒト皮膚モデルにWnt/β-cateninシグナルを促進するGSK-3阻害剤(BIO)を作用させ、細胞増殖と分化、三次元培養ヒト皮膚モデル構造への影響を検討した。 (1)細胞増殖促進:昨年度見出したHF, HKへの増殖促進の作用機序を明らかにするためにCyclinD1発現解析を行ったが、両細胞の増殖促進との関係を決定付ける結果は得られなかった。(2)表皮角化細胞分化: HKの分化マーカー遺伝子発現解析から、BIOの分化促進作用が明らかとなった。一方、BIOは高濃度Ca^<2+>や接触阻害で分化誘導されたHKにはほとんど影響しなかった。このように、低濃度Ca^<2+>の培養系でBIOによるGSK-3阻害により、HKは増殖も分化も促進される結果が得られたことから、HKの細胞ステージによりBIOの作用が異なり、表皮幹細胞やTransit Amplyfying(TA)細胞には増殖促進に作用し、TA細胞の分化細胞への移行に対しては促進作用を示す可能性が考えられた。(3)三次元培養ヒト皮膚モデル: BIO添加後、培養14日目と28日目の皮膚モデルを解析した。28日目で角層は肥厚するが数層の表皮生細胞層が存在し、4週間以上の培養が可能となった。微細構造解析により、基底細胞直下にラミナデンサがほぼ全域にわたって観察されたが、14日目で特徴的だった基底膜側のHKの細胞膜周辺の分泌小胞様の構造は存在しなかった。 以上の結果から、Wnt/β-cateninシグナルを促進するGSK-3阻害剤(BIO)の添加により、HK、HFが増殖促進され、さらにHKのTA細胞から分化細胞への移行が促進され、表皮重層構造、基底膜構造を維持した三次元培養皮膚モデルの長期培養の可能性が示された。
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Research Products
(2 results)