2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトと環境に優しい可視光酸素酸化マイクロフローシステムの開発と実用化への展開
Project/Area Number |
19590007
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
伊藤 彰近 Gifu Pharmaceutical University, 薬学部, 教授 (10203126)
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Keywords | 環境 / 可視光 / 酸化 / 分子状酸素 / マイクロ / フローシステム |
Research Abstract |
少量合成用フローシステムの設計・作成を目的に、市販のマイクロリアクターを用いて検討を行った。すなわち、芳香環上メチル基を基質に用い、生成するカルボン酸等の収率を指標に、反応試剤及び反応システムの両面から調査したところ、光源としてキセノンランプを用いた場合には反応が進行しなかったが、より照射効率の高い発光ダイオード(375nm)を用いた場合に、わずかではあるが反応の進行が観察された。そこで、マイクロリアクターを2基直列に接続することで反応時間の延長を企図した装置をデザインし検討したところ、触媒量の四臭化炭素あるいは臭化水素酸を用いた系で反応が進行し、芳香環上メチル基から直接相当するカルボン酸体を主生成物として得ることに成功した(4-tert-butyltolueneの場合4-tert-butylbenzoic acidが約20%の収率)。従来のフラスコを用いたバッチ式反応では、高エネルギーの高圧水銀ランプによる長時間照射が必要であった本酸化反応が、マイクロリアクターを用いることにより、省エネルギーの発光ダイオードからの短時間(照射流路を通過するのに約10分)の照射でも充分に酸化反応が進行することを見出した。現時点では可視光領域での十分な収率・選択性で目的物を得るには至っていないが、目的物以外の生成物は全てカルボン酸に至るまでの反応中間体であることから、光源の出力、波長、マイクロチップの流路デザインを工夫することにより、カルボン酸の選択的合成は容易に行えると考えられる。これらの実験事実は、マイクロフローシステムの開発という本提案課題の妥当性を示すものであり、今後ヒトと環境に優しい可視光酸素酸化のスケールアップを目指す上において非常に重要な方向性を示すものである。
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Research Products
(28 results)