2008 Fiscal Year Annual Research Report
ベンザインの反応位置制御法の開発と多置換縮合芳香環構築
Project/Area Number |
19590008
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
赤井 周司 University of Shizuoka, 薬学部, 教授 (60192457)
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Keywords | ベンザイン / 縮合芳香環 / ケイ素基 / Diels-Alder反応 / フラン / 位置選択性 / 求核付加反応 / 1,8-ジヒドロキシナフタレン |
Research Abstract |
天然物や合成医薬品には複数のベンゼン環が直列に繋がり,その環上に多種類の置換基を持つ縮合芳香環化合物が多数存在するが,これらの合成は必ずしも容易ではない。本研究では,ベンザインの3位に置換したシリル基を反応位置の制御と置換基導入の2通りに活用する,多置換縮合芳香環の新規簡便構築法の開発を行う。今年度は研究計画に従って次の成果を得た。 (1)室温付近で2,6-disilylphenyl triflateにフッ素陰イオンを反応させて3-silylbenzyneを発生させ、2-置換フラン類とDiels-Alder反応を行った。本法では、我々が昨年度に開発した-78℃でベンザインを発生させる方法より位置選択性は若干低下するが、収率が向上して約70〜99%で生成物が得られることがわかった。また、本法によって2位にホルミル基、エステル基、グルコシル基などの官能基を有するフラン類とのDiels-Alder反応が初めて進行した。 (2)3-(Allyldimethylsilyl)benzyneと2-置換フラン類とのanti選択的Diels-Alder反応と、生成物のシリル基から水酸基への変換によって1,8-dihydroxynaphthalene類の位置選択的合成法を見出した。 (3)2位にシリル基やスタニル基を有するフラン類は、これら置換基の嵩高さが強く作用して、3-silylbenzyneと高anti選択的にDiels-Alder反応を起こすことがわかった。 (4)アミンやアセチレンなどが3-silylbenzyneの1位に選択的に求核付加反応を起こすことを見出した。また、1級アミン類との反応では、反応条件を変えると2位にも選択的に反応することがわかり、2通りの位置異性体を作り分けることが可能になった。
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