2008 Fiscal Year Annual Research Report
アリールボロン酸ダイマーの分子認識を利用した糖鎖の効率的合成法の開発
Project/Area Number |
19590010
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
西野 貴司 Kitasato University, 薬学部, 講師 (50180625)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶 英輔 北里大学, 薬学部, 教授 (60050598)
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Keywords | 合成化学 / 糖鎖 / 分子認識 / グリコシル化 / 無保護 |
Research Abstract |
アリールボロン酸ダイマーbis(6-methoxyphenyl)methane-3,3'-diboronic acid(1)が水溶液中で遊離グルコースの1と2位および4と6位の水酸基に可逆的に結合する性質を利用し、3位の水酸基を位置特異的にグリコシル化する新規な短工程糖鎖合成法の開発を目指した。 既報に従ってbis(5-bromo-2-methoxyphenyl)-methane(2)を調製後、宮浦-石山ホウ素化(無水DMSO中酢酸カリウム、Pd(dppf)Cl_2存在下、bis(pinacolato)diboron)を用いて1の前駆体であるボロン酸エステルを効率良く合成した。つづいて、遊離ボロン酸を得るために、酸化的分解あるいは酸加水分解を試みたが、数種の副生成物が得られ、目的化合物1を得ることはできなかった。現在、ボロン酸エステル交換による1の調製を行っている。 一方、ボロン酸ダイマーの代わりに、遊離グルコースに対して2当量のフェニルボロン酸存在下、フェニルチオグルコシドを糖供与体としてグリコシル化反応を行ったところ、予想に反しβ(1→6)二糖を収率75%で得た。中間体の構造解析の結果、グルコフラノースの1と2位および3と5位の水酸基がボロン酸エステル化されていることが認められた。従来法では5ステップ必要なゲンチオビオースの合成を、この方法によりわずか2ステップで行えた。また、遊離ガラクトースに適応したところ、同様にβ(1→6)二糖が得られた。一方、遊離マンノースの場合は、興味深いことにトレハロースタイプの還元末端同士のグリコシドが得られた。これらの結果はアリールボロン酸ダイマーを用いる無保護糖のグリコシル化反応により、短工程糖鎖合成法の開発が可能であることを示唆する。
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Research Products
(2 results)