2007 Fiscal Year Annual Research Report
光線力学的療法の治療効率向上を目指した新規複素環系鉄除去剤の開発
Project/Area Number |
19590014
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
加藤 明良 Seikei University, 理工学部, 教授 (00167339)
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Keywords | 有機化学 / 薬学 / 複素環化合物 / 鉄除去剤 / 光線力学的療法 / がん治療 / PDT |
Research Abstract |
光線力学的療法は、ポルフィリン関連化合物が有する腫瘍組織・新生血管への特異的な集積性と光励起により発生する一重項酸素の強い殺細胞效果を利用してガン細胞を壊死されるユニータな療法である。本研究の目的は、生体成分でしかも光増感剤となり得るプロトポルフィリンIX(注:プロトポルフィリンIXに鉄が配位したヘムは,光増感剤として作用しない)のガン細胞への集積性を高めるために必要な鉄除去を新規な複素環配位子で行い、結果的に光線力学的療法の治療効果を飛躍的に高めることである。 平成19年度は、複素環系2座及び6座配位子の合成を中心に研究を行った。その結果、1)1-ヒドロキシ-2(1H)-ピリミジノンとスペーサーとトリス(2-アミノエチルアミン)から成る6座配位子の合成、2)3-ヒドロキシ-2(1H)-ピリミジノンとスペーサーとトリス(2-アミノエチルアミン)から成る6座配位子の合成、3)5,6-ジメチル-ヒドロキシ-2(1H)-ピリミジノンとスペーサーとトリス(2-アミノエチルアミン)から成る6座配位子の合成、及び4)1-ヒドロキシ-2(1H)-ピリミジノンとスペーサーとトリス環状トリセリントリラクトンから成る6座配位子の合成に成功した。これら6座配位子と第2鉄イオンを溶液中で混合し、紫外可視吸収スペクトルを測定した結果、錯体に特徴的なLMCTに基づく吸収帯が420-470nmに観測されると同時に幅広いpH領域で吸光度がほぼ一定であったことから、かなり安定な分子内1:1錯体を形成することがわかり、今後の研究の進展に繋がる結果が得られた。
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