2007 Fiscal Year Annual Research Report
14-エピプレビタミンD誘導体:核内受容体と膜受容体作用選択的分子の設計と合成
Project/Area Number |
19590016
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
橘高 敦史 Teikyo University, 薬学部, 教授 (00214833)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤田 大介 帝京大学, 薬学部, 講師 (00338691)
高野 真史 帝京大学, 薬学部, 助教 (50386611)
杉口 亨 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教 (40242036)
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Keywords | ビタミンD受容体(VDR) / 活性型ビタミンD / プレビタミンD_3 / [1,7]シグマトロピー転位 / ルミステロール / genomic作用 / nongenomic作用 / 14-エピ-活性型ビタミンD_3 |
Research Abstract |
活性型ビタミンD_3(1)は、核内のビタミンD受容体(VDR)と特異的に結合して標的遺伝子の転写を制御し、いわゆるgenomic作用を司る。一方1は溶液中、[1,7]シグマトロピー転位した異性体であるプレビタミンD_3(2)との平衡混合物(37℃溶液中で1:2=94:6)であり、2は1がある限り恒常的に生体内に存在する。2の生理活性については、2の単離と生物活性評価が生理的条件下において不可能なために不明な点が多く、構造的に近いルミステロールの生理活性からの推測の域を出ていない。2は核内VDRではなく、細胞膜上の膜受容体に結合し、遺伝子を介さない生理的応答(nongenomic作用)により、小腸細胞のCa^<2+>イオンチャンネル開口に起因するCa^<2+>の輸送活性を発現していると考えられている。我々は、2にみられる6,7-cis型のseco-ステロイド骨格を構築してnongenomic作用を純粋に抽出し、膜受容体のリガンド結合領域に関する情報を化学構造から議論し、核内と膜の受容体に選択的に作用する骨格を取得し、骨粗鬆症薬研究分野に新規骨格の提供をする目的である。我々は、A環2α位をC_1〜C_4アルキルユニットや、Ph、Bnのように系統的に化学修飾した14-エピ-1誘導体を合成し、ベンゼン中80℃に加熱したところ、[1,7]シグマトロピー転位がほぼ完全に進行し、高い選択性でプレビタミン型となることを見出した。まずgenomic作用を調べたところ、2α-メチル体において、VDR結合親和性が無置換の場合の17倍に向上し、HOS細胞を用いたオステオカルシン転写活性が天然ホルモン1に比べて幾分弱い程度ではあるが、十分に認められた。本化合物は、プレビタミン骨格で顕著なgenomic作用を発現した初めての例である。
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