Research Abstract |
1) セレン,テルルなどの「カルコゲノール類の分子内三重結合への付加反応」を基盤とする複素環合成によりこれまでに種々の含セレン・テルル複素環が合成できている。また,これらより様々な新規な複素環への誘導を検討しており,1-Benzoselenopyrylium Salts,1-Benzotelluropyrylium Saltsの一般合成法を確立し,その反応性を併せて検討した。これまでに得られている成果などを加え,総説にまとめた。 2) 上記の位置異性体である2-Benzotelluropyrylium Saltsの機能性解明の一部として,ジエン類とに[4+2]付加反応を行った。その結果,新たに3環性のセレノニウム,テルロニウム塩への誘導に成功し,併せてそれら付加物と各種求核剤との反応を検討した。この成果は,10th International Conference on the Chemistry of Selenium and tellurium(Poland Lodz, 2007.6.22-27)において,口頭発表した。 3) 上記の「カルコゲノール類の・・・・」をさらに発展させ,セレノール,三重結合を反応系中に二次的に誘起させることにより,新規な含セレン中員複素環の合成に成功した。すなわち,セレノラクトンにエチニルリチウムを作用させて生成するイノールの互変異性体(イノン部位を有するセレノール類)の分子内三重結合への環化付加を利用して,これまで合成例がほとんどない含セレンα,β-不飽和中員複素環の一般合成法を確立した。この成果は,第37回複素環化学討論会(長野市,2007.10.17-19)において,口頭発表した。 4) 「カルコゲノール類の分子内三重結合への付加反応」をタンデム型に展開させた。すなわち,三重結合を共有するジベンジルカルコゲノール(-SH,-She,-TeH)のタンデム環化反応を検討し,カルコゲン原子による環化の様式に違いがあることを見い出し,これらのカルコゲン原子を含む新規ないくつかの縮合多環性複素環を合成した。この成果は,日本薬学会第128年会(横浜市,横浜パシフィコ,2008.3.26-28)において大学院生が発表した。
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