Research Abstract |
先の交付申請書実施計画の(1)については,分子内に三重結合を有する種々のベンジルカルコゲノール類の環化反応を検討し,種々の含カルコゲン縮合複素環を得るとともに,化学計算(共同研究者担当)により,その環化反応に理論的考察を加えた。これらの成果は,下に示すように複数の学会発表を行うとともに現在,論文を投稿中である。 (2)の4環性ジカチオンピリリウム塩については,最終段階の手前まで来ており,現在その詰めを行っている。当初予想したより,その合成は難航したが,目的物合成に向け,検討を続けている。 (3)モノカルコゲニド類の新電子的環化反応については,ほぼその実験は終了にちかく,現在論文を執筆・投稿準備中である。 (4)新たな含カルコゲン複素環化合物の合成法の開発については,カルコゲン(セレン)・ソースにイソセレノシアネートを用いる分子内に三重結合への環化反応を開発できた。この成果については,下に示すように複数(5報)の学会発表を行った。さらにデータの集積を目指し,今秋の国際学会に発表を予定している。また,その生物活性を検討した結果,かなり強い抗菌活性が認められ,現在特許申請に向け,弁理士と協議中である。 これらの含カルコゲン複素環化合物の研究を遂行する中で,種々の酸化剤の検討中に四酸化ルテニウム酸化による複素環化合物に対する新知見を見出し,3編の論文を公表した。また,反応系中に二次的にセレノールを誘起させ,その分子内三重結合への環化を利用する含セレン中員環α,β-不飽和ケトンの簡便で効率的合法を確立でき,論文(Synthesis)を公表した。
|