2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19590032
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
眞鍋 史乃 The Institute of Physical and Chemical Research, 伊藤細胞制御化学研究室, 専任研究員 (60300901)
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Keywords | 糖化学 / コンフォメーション / 選択性 / 反応中間体 / グリコシル化反応 / 低温NMR / 計算化学 / endo-開裂 |
Research Abstract |
グリコシル化反応に関与する中間体を分光学的に観測することを目的として、低温条件下でのチオグリコシドの電解酸化により発生させたグリコシルトリフレートに対してスルフィドを添加することにより、グリコシルスルホニウムイオンが生じることを見出した。生じたグリコシルスルホニウムイオンをNMR,CS-MSにより分析し、初めてα-グリコシルスルホニウムイオンの同定に成功した。また、アルコールとの反応を検討することでβ-グリコシルスルホニウムイオンよりもα-グリコシルスルホニウムイオンの方が反応性の高いことを見出した。グリコシル化反応においてオニウムイオンの関与は示唆されているが、その充分な証拠については得られておらず、反応系が単純である電解酸化法を取り入れることにより、端緒を拓いた。また、スルホニウムイオンとアルコールの反応は立体選択的には進行せず、反応がSN1反応により進行していることが示唆された。このようにグリコシル化反応に関与する活性種をひとつひとつ創成することにより、分光学的性質、反応性を詳細に検討することが可能となり、今後の発展も期待できる。 また、2,3-transカーバメート、カーボネートを持つピラノシドが弱酸性条件下において容易にendo-開裂反応を経由してβグリコシドからαグリコシドに異性化することを見出した。また、endo-開裂反応のカチオンを還元とFriede-Crafts反応により捕捉することに成功した。また、計算化学からも2,3-transカーバメート、カーボネートを持つピラノシドのendo-開裂反応の遷移状態が2,3-transカーバメート、カーボネートを持たないものよりも極めて低いことも見出した。
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Research Products
(13 results)