2008 Fiscal Year Annual Research Report
テラヘルツ分光法及び量子化学計算による固体分散体中の医薬品分子状態の解明
Project/Area Number |
19590035
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
森部 久仁一 Chiba University, 大学院・薬学研究院, 准教授 (50266350)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 恵司 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (50110341)
畑 晶之 松山大学, 薬学部, 准教授 (50241972)
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Keywords | テラヘルツ / 複合体 / cocrystal / 固体分散体 / 非破壊 / 結晶工学 |
Research Abstract |
テラヘルツ時間額域分光法(THz-TDS)は結晶多形や多層コーティング錠の厚さ評価などへの応用が報告されているものの、医薬品複合体を含めた多成分系での分子状態の評価は検討例が少ない。一方、遠赤外領域(3THz〜)にも分子の振動状態に関する有用な情報が存在する。本研究では、固体分散体や微粒子、cocrystal形成に伴う構成成分の分子状態の変化をテラヘルツ及び遠赤外スペクトル測定により検討した。モデルとして、(1)固体分散体(ナノ微粒子)系、(2)固体分散体(マイクロ微粒子)系、(3)cocrystal系を検討した。その結果(1)、(2)では微粒子形成に伴うスペクトル変化は明確に確認できなかった。(3)ではエテンザミド-チオ尿素cocrystalを調製してスペクトル測定を行い、各成分のスペクトルと比較した。その結果、テラヘルツ及び遠赤外吸収スペクトル測定でcocrystal形成によるスペクトル変化が観察された。本測定はPE diskでの測定であるが、全反射型の装置を用いることで粉末のままでも測定が可能である。このようにTHz-TDSによるスペクトル測定と遠赤外吸収スペクトル測定を併用することでより広い振動数額域でのスペクトル測定が可能になると考えられた。テラヘルツ領域のスペクトルは振動モードの帰属が困難で、厳密な評価を行うには、第一原理計算による解析を行っているのが現状である。今回はより多分子で量子化学計算することで振動モードを予測することを試み、実際のスペクトル測定の結果と比較した。その結果、多分子で計算を行うことにより複合体間の相互作用を考慮した計算結果が得られ、テラヘルツスペクトルをより精度よく予測可能であると推察された。
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Research Products
(3 results)