2007 Fiscal Year Annual Research Report
LC/MS/MS用高性能標識試薬の開発と生体分子の高感度分析への応用
Project/Area Number |
19590036
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三田 智文 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 准教授 (30187306)
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Keywords | 標識試薬 / クロマトグラフィー / 質量分析 / LC / MS / MS / 生体分子 / 新生児マススクリーニング |
Research Abstract |
近年、タンデム型質量分析器(MS/MS)が開発され、HPLCを組み合わせたLC/MS/MS法が、分析化学、生命化学、臨床化学、環境化学など広い分野で用いられるようになっている。本研究は、LC/MS/MS法における検出感度、選択性の向上のための標識試薬を開発することを第一の目的とした。そして、開発した標識試薬を用いて、疾患のマーカーとなる生体分子の高感度分析法の開発、さらには特定の官能基を有する生体分子の網羅的解析法を開発することを第二の目的とした。 平成19年度は、LC/MS/MS法に適しか高性能標識試薬を開発することを目的として研究を行った。一般に、LC/MS/MS法に用いる標識試薬には、1)分析対象分子と高い反応性を有する、2)イオン化効率を高めるために容易にイオン化する構造を有している、3)イオン化抑制物質である塩や親水性化合物と逆相HPLCで分離するために適度な疎水性を有している、4)MS/MS法により特定の娘イオンを選択的に高い収率で生じる、などの条件を満たすことが必要である。まず、特定の娘イオンを効率よく生成する構造を見出すために、化合物の構造とMS/MS法による解裂様式との関係を詳細に検討した。その結果、標識試薬骨格として優れた性質を有するベンゾフラザン骨格と結合したスルホンアミド基の近傍で解裂が起き、選択的かつ高い収率で娘イオンを生じることが明らかになった。以上の結果を用いて、DAABD-AEをけじめとするカルボキシル基を分析対象としたLC/MS/MS用標識試薬を開発した。さらに、開発した試薬を用いて、有機酸代謝異常症のマーカー分子の高感度分析法を確立した。現在、新生児マススクリーニング法への応用研究を展開中である。
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Research Products
(3 results)