2008 Fiscal Year Annual Research Report
LC/MS/MS用高性能標識試薬の開発と生体分子の高感度分析への応用
Project/Area Number |
19590036
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三田 智文 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 准教授 (30187306)
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Keywords | 標識試薬 / クロマトグラフィー / 質量分析 / LC / MS / MS / 生体分子 / 新生児マススクリーニング |
Research Abstract |
近年、タンデム型質量分析器(MS/MS)が開発され、HPLCを組み合わせたLC/MS/MS法が、分析化学、生命化学、臨床化学、環境化学など広い分野で用いられるようになっている。本研究は、LC/MS/MS法における検出感度、選択性の向上のための標識試薬を開発することを第一の目的とした。そして、開発した標識試薬を用いて、疾患のマーカーとなる生体分子の高感度分析法の開発、さらには特定の官能基を有する生体分子の網羅的解析法を開発することを第二の目的とした。 平成20年度は、前年度に開発したDAABD-AEを用いて、LC/MS/MSによる血漿中極長鎖脂肪酸(炭素鎖20~26)の高感度分析法の開発に取り組んだ。DAABD-AEによる脂肪酸の標識化は、縮合剤存在下、60℃、45分で行った。標識化した脂肪酸は逆相カラムで分離しESI-MS/MSにより検出した。標識化した脂肪酸はMS/MSによりm/z151のイオンを効率よく生じるため、SRM(selected reaction monitoring)による高感度な分析が可能であった。また、分析に要する時間は5分以下であった。本法は、従来のGC/MS(ガスクロマトグラフィー/質量分析法)による方法と比較して、前処理が簡便であり分析時間も大幅に短縮できた。この方法は、現在、先天性代謝異常症の一つであるペルオキシソーム病の新生児マススクリーニング法として海外で用いられるようになっている。また、カルボニル基を分析対象とした標識試薬DAABD-MHzを新たに開発した。この試薬を用いることにより、先天性副腎過形成症のマーカー分子である17-ヒドロキシプロゲステロンなどのケトン類の高感度分析が可能であった。
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