2008 Fiscal Year Annual Research Report
モノリス充填ナノスプレー分離によるオンタイム細胞内蛋白質解析法の開発
Project/Area Number |
19590041
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
津山 尚宏 Hiroshima University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (10335747)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
升島 努 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (10136054)
水野 初 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (30457288)
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Keywords | 分析科学 / 生体分子 / 質量分析 |
Research Abstract |
多細胞分析では平均値としてしか得られない分子変動も、観察下の一細胞解析を行うことによりオンタイムでシャープな反応として捕らえることができる。我々は従来不可能と考えられた低分子からペプチドまでを捉えることのできる一細胞のリアルタイム質量分析法を確立することに成功した。 1.細胞吸入用ナノスプレーチップの作成:口径を最適化し、金コーティングによる導電性処理、ならびにシランによる擾水性処理をした中空のガラス針を、顕微鏡観察下の培養細胞にマイクロマニピュレーターを用いて刺し細胞質を吸引できることを確認した。シリカモノリスを内部に形成させたガラス針についても作成し吸引に用いたが、安定したスプレーが出ないことから採用しなかった。 2.質量分析による細胞分子解析:内容物を吸い上げ、溶媒を添加したガラス針を、そのままナノスプレーチップとして用いて質量分析を行い、細胞分子の検出を行うことができた。検出された分子について、精密質量およびMS/MSによる断片情報から分子同定を行うことができた。様々な物性の低分子から10アミノ酸程度のペプチドまで、一細胞から検出することができた。 3.分子変動解析:様々な種類の様々な現象が観察されている一つの細胞から得られたスペクトルから抽出したピーク群を多変量解析を用いて比較したところ、一細胞スペクトルには試料を採取した細胞に特徴的な分子ピークが含まれていることを確認した。複数の細胞を比較することにより、例えば特定の細胞種や細胞周期の特定の期、細胞分化状態に特異的な分子候補を同定することができた。 また、ある現象が観察される細胞を継時的に解析することにより、特定の分子の変化を追跡することも可能となった。
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