2007 Fiscal Year Annual Research Report
抗癌薬や遺伝子の空間的・時間的分布を制御する肝臓表面適用製剤の開発
Project/Area Number |
19590042
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
西田 孝洋 Nagasaki University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (20237704)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
麓 伸太郎 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究, 助教 (70380988)
兒玉 幸修 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 教務職員 (50448510)
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Keywords | ドラッグデリバリーシステム / 薬物動態 / 肝臓表面 / 薬物速度論 / 肝血流 / 担癌動物 |
Research Abstract |
今年度は、抗癌薬や遺伝子の空間的・時間的制御を可能とする肝臓表面投与製剤の開発のための基礎的段階として、抗癌薬5-fluorouracil(5-FU)をモデルとして、以下のことを明らかにしている。 1.円筒状のガラス製拡散セルを用いて5-FUをラットの肝臓表面へ投与したところ、360分までに投与量の約70%が一次速度式に従って吸収された。また、5-FUの肝臓表面からの吸収速度について、これまでに検討されたモデル薬物と比較したところ、見かけの透過係数Pappと分子量の平方根の逆数との間に高い相関性が得られた。 2.腫瘍細胞としてwalker256ラット乳癌細胞を肝臓に移植した担癌ラットを作製し、同様な5-FUの吸収実験を試みた。肝実験腫瘍に装着した拡散セルからの5-FUの吸収は良好で、Pappは正常ラットと同等の値が得られた。一方、投与部位周辺の5-FU濃度は、正常ラットと比べて10倍以上に飛躍的に高まった。 3.肝実験腫瘍の結果から、血流が肝臓表面投与後の分布に大きな影響を与えると考えられる。したがって、肝血流を低下させる血管収縮薬epinephrineによる5-FUの肝臓内分布の制御を試みた。5-FUとepinephrineを肝臓表面へ併用同時投与した場合、5-FUの肝臓表面からの吸収速度は、コントロールと比較して若干低下したものの、肝臓内の投与部位近傍の5-FU濃度は高い値を示した。さらに、epinephrine濃度の増大に伴い、5-FU濃度は高くなった。また、epinephrineの前処理投与でも、肝臓内の投与部位近傍における5-FU濃度は、コントロールと比較して有意に高い値を示した。 以上、肝臓表面投与を利用した癌化学療法に、有用な基礎的情報となることが期待され、今後は遺伝子製剤への適用へと、研究を進展させる予定である。
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Research Products
(2 results)