2008 Fiscal Year Annual Research Report
小胞体における蛋白質品質管理システムに対する一酸化窒素の病態生理学的作用
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19590051
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
上原 孝 Hokkaido University, 大学院・薬学研究院, 准教授 (00261321)
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Keywords | 一酸化窒素 / S-ニトロシル化 / 小胞体 / 蛋白質品質管理 / 蛋白質成熟 / 小胞体ストレス / 分子シャペロン / 細胞死 |
Research Abstract |
本研究課題では, 小胞体における蛋白質成熟機構とそれに密接に関係している蛋白質品質管理系に対するNOの影響を明らかにすることを目的とし, 以下の知見を得ることに成功した. まず, PDIと協調して蛋白質, とくに糖蛋白質の成熟(folding)に関わっているレクチンシャペロンに対するNOの効果を調べた. 小胞体内に存在するレクチンシャペロンとしてカルレチキュリンとカルネキシンが知られている. 両者がNOの基質となり得るか, 蛋白質SNO化を特異的に検出するビオチンスイッチ法から検討したところ, 外来性/内在性NOによってどちらもS-ニトロシル化されることがわかった. 予想される両分子の立体構造を基にして対象となるシステイン残基の位置を調べたところ, カルレチキュリンは糖鎖結合部の近傍に, カルネキシンは糖鎖認識部位とは全く異なる位置にあることが推定された. このことから, 今後はカルレチキュリンに絞り込んで研究を進めることとした. カルレチキュリンがNOによって酸化されることを精製蛋白質ならびに細胞レベルで明らかにした. さらには, 脳梗塞モデルマウスにおいて優位なカルレチキュリンのS-ニトロシル化が認められだ. このことから, 生体内においてカルレチキュリンは活性酸素種の標的となっている可能性が示唆された. また, ヒト孤発性アルツハイマー病患者死後脳においても同様に検討したところ, 疾患脳においてのみS-ニトロシル化されたカルレチキュリンが検出された. 一方, カルレチキュリンの酵素活性に対するNOの効果を調べたとこと, 蛋白質凝集活性に関しては抑制傾向が認められた. また, 抗細胞死効果についてもNO処理によって減弱されることが明らかとなった.
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