2007 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内寄生細菌に対する異物認識分子PGRP-LEの機能解析
Project/Area Number |
19590054
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
矢野 環 Tohoku University, 大学院・薬学研究科, 助教 (50396446)
|
Keywords | 自然免疫 / 昆虫 / 細菌 / 細胞 |
Research Abstract |
細胞内における細胞内寄生細菌認識分子と細胞内寄生細菌に対する生体防御機構は、細胞内寄生細菌の引き起こす疾病が重大にもかかわらず、その分子機構はまだほとんど解明されていない領域である。細胞内寄生細菌に対する生体防御の最前線は自然免疫によって行われる。ショウジョウバエはヒトと相同の自然免疫カスケードを有し、かつその自然免疫のみで防御を行っているため、自然免疫研究のよいモデルとなる。本研究では、細胞内寄生細菌であるListeriamonocytogenes (Lm)に対する異物認識分子PGRP-LEの機能と、PGRP-LEによって誘導される細胞内寄生細菌に対する生体防御反応の全容理解のための分子基盤を得ることが目的である。 本年度は以下の2項目の解析を行い、PGRP-LEが細胞内寄生細菌Lmの細胞内における認識、および抵抗性に必須であること、また、この抵抗性が既存の自然免疫経路に依存していないことを明らかにした。 1.培養細胞S2細胞を用いたPGRP-LEの細胞内Lm認識と抵抗反応誘導の検討S2細胞にPGRP-LEを誘導的、あるいは恒常的に発現させ、Lm感染に応じた抗菌ペプチド発現誘導がPGRP-LEに依存していることを明らかにした。Lmはエンドサイトーシスにより細胞に取り込まれ、エンドゾームから細胞質へと侵入する。抗菌ペプチド発現誘導は、野生型Lmの感染時に起きたが、エンドゾーム細胞質へ侵入できない変異型Lm感染時には起きなかったことから、PGRP-LEによるLm感染認識は細胞質で行われることを示唆した。 2.体液細胞のex vivo培養系を確立し、内在性PGRP-LEの機能解析を可能にした。この系を用いて、PGRP-LEが細胞内Lm増殖抑制に必須であること、既知の自然免疫経路であるToll経路、IMD経路が共にLm増殖抑制に必要ではないことを明らかにした。さらに、細胞内Lm増殖抑制にオートファジーが働いていることを示唆した。
|